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059 恋バナ

 ひとしきり遊び尽くし、小学生ぶりくらいにへっとへとになった気がする。

 夜ご飯はメイドさんが作ってくれたご馳走に舌鼓し、大きな浴場でみんなで入浴して癒されるとあっという間に就寝の時間になった。


「部屋は5人部屋ですわ。だから2班に分かれますわよ」

「はい! 結衣さんと同じ部屋を所望します!」

「言うと思ったわ……今回は名簿で分けるわよ。前半はこっちのお部屋、後半はあっちのお部屋ですわ」


 名簿で分けるということは私と同じ部屋はエレナ、三国さん、桃園さん、吹雪さんということだ。いつもの有栖さんなら不平不満が出ないように色々催し物を考えてくれるけど、今日は流石の有栖さんでも疲れているようだ。

 というわけで5人部屋に向かうと、なんとびっくりベッドではなくお布団が敷いてあった。


「へー、布団なんて僕初めてだよ」

「私もです」

「私も私も!」

「我も初めてだ」

「…………」


 まぁいちいち突っ込んではいられない。私もめっちゃ疲れているし。それにしても有栖さんの別荘に布団だなんて想像していなかったなぁ。

 5つの布団が円状に並べられている。なんかちょっとおかしな並べ方になっているのは布団に慣れていないからかもしれない。


「この並べ方だと結衣ちゃんの隣とかそういう概念がないな〜」

「そうですね。適当に場所を取りましょう」


 なるほど、有栖さんならそこまで計算していてもおかしくはないか。

 みんなが布団に横になって、電気が切られたところでふと吹雪さんが口を開いた。


「なぁなぁ、みんなで恋バナしないか? こ・い・ば・な」

「こ、恋バナ!?」

「いいですね! こういう合宿のような場では恋バナをするとメイドから聞いたことがあります」

「楽しそう! やるやるー!」

「……好きにすると良い」


 マジか、まさかの恋バナ展開か。

 意外とみんな乗り気だし、本当に恋バナ始まる展開だぞこれ。桃園さんだけは本音でどう思っているかわからんけども。


「みんなずばり好きなタイプは?」


 やるやる〜という雰囲気だったのにも関わらず、いざ吹雪さんが質問したらもじもじと恥ずかしいような空気が流れた。可愛いなこいつら。


「し、質問された吹雪さんから答えるべきでは?」

「えー? まぁ僕はそうだな……ありのままの僕を受け止めてくれる人、かなぁ」

「い、意外と恋愛強者のような回答ですね」

「ギャップ萌えか〜? で、みんなはどうなんだよ?」

「わ、私は……」


 珍しく躊躇いを見せるエレナ。彼女だけはお嬢さまでないことが確定しているから気軽に聞ける。


「私はその……面倒見が良い人がタイプ……です」


 デクレッシェンドのようにだんだん声が小さくなっていったエレナ。たぶん顔はゆでダコのように真っ赤だろう。


「ほらほら、桃園さんと三国さんと結衣ちゃんはどうなんだよ〜?」

「私はね〜…………人の痛みがわかる人、かなぁ」

「おっ、桃園さんにしては意外な回答じゃないか?」

「我はそうだな……女性らしい方が好みだ」


 女性らしい方……とは? スタジアムで見たけど、三国さんのとっさの「きゃっ」が1番女性らしかったけど。


「女性らしいって何?」

「我の家では我も男のように生きよと命じられている。だからそう答えたまでだ」


 命じられている、ね。つまりまぁ自分ではそれを無意識に認めてはいないと。まぁあんまり首突っ込まない方がいいかな。


「それでそれで! 結衣ちゃんはどうなんだよ?」

「えー……言わなきゃだめ?」

「言わないのはズルいですよ! みんな言ったんですから」

「んー……」


 そういえば好きなタイプとか考えたこともなかったかもな。好きなタイプ……ん〜……


「私のことを好きでいてくれる人、かなぁ」

「…………なんか深いのでは!?」


 いや、たぶん浅いよ。たぶんね。

明日の更新はお休みです!

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