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054 お姉さま……?

「へぇ、カレンちゃんっていうのか。僕は吹雪。よろしくな」

「はい! よろしくお願いします、吹雪センパイ!」

「えっと……慎見結衣。よろしくね」

「はい! 結衣……お姉さま!」


 その時、名古屋駅に電流走る。

 この唐突に現れた少女。名は麻萌(あさもえ)カレン。エレナのことを「お嬢様」と呼び慕い、来年金楼に入る予定の後輩ちゃんだ。

 その子が吹雪さんと私の自己紹介を聞いて、吹雪さんには「センパイ」と、そして私には「お姉さま」と付けた。この差は……大きな軋轢を生むのである。


「なぁカレンちゃん、どうして僕はセンパイ呼びなのに、結衣ちゃんのことはお姉さまと呼ぶんだ?」

「簡単です! 結衣お姉さまはエレナお嬢様が慕うお方……つまり、将来的に私の義理の姉になるかもしれないからです!」

「ちょっっっっっと意味わかんないなぁ」


 珍しいね吹雪さん、私も意味わかんない。

 カレンちゃんがエレナの妹だとしたらその発言もわかるけど、そうではないんだよね?


「困惑させてごめんなさい結衣さん。カレンは私の妹みたいなもので……なんか本人も妹ポジションを確立しようとしているんです」

「な、なるほど〜?」


 なるほどと言うほか無かった。

 ともかくカレンちゃんを加えて4人で行動することに。ここにお嬢さまがいるのか、はたまた指を咥えて100メートル内で見ているのかはわからないけど行動あるのみだな。


「お嬢ちゃんどうするんだい? 買うの? 買わないの?」

「あっやべ。買い物の途中って忘れてた!」


 そういえば吹雪さんはカードが使えない店で困っているところを発見したんだっけ。


「私が払うよ。どうせエレナもカレンちゃんもカード族だろうし」


 お嬢さまにもらった1万円で吹雪さんの会計を済ませた。620円か。私にとっては高いけど、吹雪さん……というかお嬢様にしては不自然なほどに安い買い物な気がする。まるで大声を出す機会を伺っていたかのような……。


「サンキューな結衣ちゃん。カード使える店で620円分返すよ」

「あーうん。じゃあそうしてもらおうかな」


 友人関係では貸し借りなしが1番だ。


「結衣さん、私も買います」

「あ、エレナはカード族じゃなかった?」

「いえ、今日はカードしか持っていません」

「……ならなんで」

「結衣さんの! 買った! おせんべいが! 食べたい!」

「…………」


 もはや言葉は出なかった。

 しゃあなしで買ってあげて、その後のショッピングで返してもらった。

 いろんなスイーツや夜ご飯を買ったけど、まだお金は余っている。何に使おうかと思ったけど、もう結構いい時間だ。


「そろそろ解散する?」

「あ、私……最後に電車が見てみたいです」

「電車?」

「カレンは乗り物とか好きなんですよ。ガチ勢というほどではないですが車や電車、飛行機などが好きなんです。ただ電車で移動というのは私たちにとって滅多にないので見られないんですよ」

「ん〜……じゃあ隣の栄までだけど乗る? 電車」

「はい! 乗りたいです!」


 というわけで急遽、名古屋駅の東山線の方へ向かった。

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