047 有栖式テスト対策
「学生のするべきこととは何か。そう、勉強ですわ。体育祭に宿泊学習。楽しいことがあって浮き足立つのはわかるけれど、今のあなた達では期末テストの結果は火を見るよりも明らかですわね」
突如有栖さんに呼び出された私たち。私たちといっても海咲さん、吹雪さん、三国さんの4人だ。
「あなた達は中間テストで半分より下の順位でしたわ。ですのでわたくしがトレーナーとなり、あなた達の勉強をサポートして差し上げます」
「なんでだよー、勉強なんていいじゃんかよー」
ブーブーと、主にというか吹雪さんのみがブーイングをあげていた。
有栖さんがトレーナーか。前回のテストでは30人中29位と醜態を晒してしまったからな。全庶民を背負っている私としては次こそ上位進出を目指したい!
「私はやりたい。有栖さんの勉強方法なら伸びる気がする」
「えー!? 結衣ちゃんそっち側かよぉ〜」
「我は自分で勉強できるぞ? 半分より下と言っても18位だった。そんなに悪くないのではないか?」
「そうですわね。ただ……その順位になると気を抜けば一気に25位付近まで落ちる危険性も秘めているのよ」
三国さんもどちらかといえば乗り気ではないようだ。
今この時点で乗り気なのは私だけか?
「う〜ん……うん、アタシはやる! 結衣ちゃんがやるってならアタシもやるよ!」
いや、意外にも海咲さんが乗っかってきた!
「有栖ちゃんって前回1位でしょ? ならアタシの成績、上げてくれるよね」
「もちろん。あなたのやる気次第ではいくらでも上げますわよ」
あ、有栖ちゃん……よくこんな凄みのある人をちゃん付けで呼べるね。
「えー、これ僕も乗らなきゃいけない感じ?」
「まぁ従う従わないは自由ですわ。時に慎見さん」
「えっ!? あ、はい!」
突然名前を呼ばれたのでビックリしてしまった。
「お勉強ができる方とできない方、どちらの方が魅力を感じますか?」
「え? ……まぁできる方が凄いな〜、カッコいいな〜とは思いますけど……」
私の答えを聞いて有栖さんはニヤッとした。そして紅い瞳を吹雪さんに向け、こう言い放った。
「お勉強ができた方がカッコいいらしいですわよ〜?」
「やる」
「えっ? でも吹雪さ……」
「やる!」
「そ、そうですか……」
まるで逆駄々っ子のように勉強すると言って聞かなくなってしまった。有栖さん……一体どんな魔法を使ったんだろうか。