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044 種目決め:後編

 迫る体育祭の種目決め。一番の争点は二人三脚に誰が出るか、だった。

 とりあえず玉入れとリレーに出ない私は二人三脚に参加することが決定した。ちなみに私は二人三脚をしたいなんてひと言も言っていないけど、雰囲気が異議を許してはくれなかった。


 そして二人三脚の残る席は3つ。これはなんと全員に可能性が残っている。なぜなら被りは2種目まで。今のところ全員1種目しか登録していないからな。

 だからこそというべきか、困ったことになっている。今、我らがA組では殺伐とした空気が流れている。


 主に天月さん、海咲さん、神村さん、エレナ、桃園さん、吹雪さんから黒い雰囲気が流れ出ている。……なんかこの展開、宿泊学習の班決めと同じじゃね? まぁいっか。


「ではまたくじ引きに……」

「嫌です!!!」

「……えっ?」


 有栖さんの提案を、エレナが拒否した。


「前回のくじ引きで私はハズレているんですよ!? またハズレたらどうするんですか!」

「いや……くじとはそういうものなのだけれど」


 パーフェクトな有栖さんですら少したじろぐレベルのエレナのわがまま。強いとしか言いようがない。

 どうしたものかと有栖さんが頭を悩ませ、そして一つの選択肢が浮かんだようだった。


「なら二人三脚らしく慎見さんと感覚が近い方を選びましょうか。それなら文句ありませんわよね?」

「そうですね。異論なしです」


 そうして有栖さんが考案したゲーム、『いま慎見結衣は何を考えているでしょうゲーム』が始まることとなった。

 二人三脚に立候補した6人にホワイトボードが配られ、書いた内容が見えないように円状に机が並べられた。


「司会はわたくしが勤めますわ。では質問1。今食べたいものは?」


 私はすぐにコロッケが浮かんだ。肉屋の60円のコロッケが美味いんだ。


「回答をどうぞ」


 天月さんは「ポークソテー」海咲さんは「クロダイのムニエル」、神村さんは「ミネストローネ」、エレナは「シャトーブリアン」、桃園さんは「パフェ」、吹雪さんは「フライドチキン」だった。


「では慎見さん、回答は?」

「はい。コロッケです」

「「「「「「……………?」」」」」」


 私がコロッケと答えた瞬間、変な空気が流れた。まるでコロッケを知らないかのような反応だが……まさか知らないとかないよね?


「では次。慎見さんが聴きたい曲は?」


 少し悩んだけど、今期で1番面白いアニメのオープニング、『Make up life!』と書いた。


「はい、では回答を」


 天月さんは……なんと「Make up life!」海咲さんはjポップ、神村さんは曲というより詩だし、エレナはクラシック、桃園さんはバンドソング、吹雪さんはロックだった。


「さぁ慎見さんの答えは?」

「答えは……『Make up life!』です」


 私の答えに、有栖さんがニヤッと笑った。


「決まりね。慎見さんのパートナーには天月さん、あなたにお任せしますわ」

「わ、私が……やったぁ!」


 天月さんは一番の笑顔で喜んだ。

 逆に選ばれなかったみんなはもうどうでもいいかのように、くじ引きで二人三脚をする人を決めた。

 ……なんかイベントごとに毎回これやるの? 大変だなぁ……。

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