033 メイドさん奮闘記②
ごきげんよう皆さま。
わたくし、とあるお金持ちの家のとある屋敷のとあるお嬢さまのとあるメイドでございます。
本日、お嬢さまはゴールデンウィーク休みということでお出かけされました。
え? どこにですって? それはもちろん、待機させていた黒服が掴んだ結衣様の向かったところにストーカーの如く向かわれたに決まっているでしょう。
どこに行ったのかは屋敷にいるわたくしにはわかりませんし、そもそもあのチキンなお嬢さまが同じ空間にいたとして話しかけられるんですかねぇ。
……と、意外と早く帰ってきましたね。
「おかえりなさいませお嬢さま。本日はいかがでしたか?」
お嬢さまは結構満足されたような表情をされています。おそらく……結衣さまの姿すら見られなかったということはなさそうですね。
するとお嬢さまに耳を貸せと言われ、言われるがままに耳をお嬢さまの口元に近づけた。
「%$€¥→%%€%€〆」
「なんと! そこまで……成長されましたね、お嬢さま」
ふふ、我が主人はなかなかのレベルまで達したようですね。物陰から結衣さまを指を咥えて見ることしかできないかと思いましたが……。
「それでそんなに嬉しそうな顔をされて……えっ? それだけでない!?」
ここからわたくしは延々とお嬢さまの自慢話を聞くことになったのです。
……これ、残業代つきますかねぇ。
ただお嬢さまの成長と結衣さま関連の進歩はわたくしにとっても喜ばしいこと。
どれ……ここでわたくしも一肌脱いで、結衣さまに接触を図ってみましょうか。
まぁ焦ることはありません。夏休みに入るまで……それくらいまでに接触すれば良いでしょう。
電話越し以外では初めてですね。さぁ、どんな方か見てみましょうか。