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030 火花散る

「それにしても出来過ぎた偶然ですね。このような安価なお店が並ぶところに名家の子女さまたちがいらっしゃるだなんて」


 エレナはニコニコとしながらここに海咲さん、桃園さん、吹雪さんといった3人ものお嬢様が集結したことに疑問をぶつけた。

 私としても偶然だとは思えない。よくよく考えたらうちの外にいた黒服は何人もいた。もしかしたら私の行動を監視してのことだったり?


「僕はこういうところでよく買い物するよ。ほら、このジャージだって3980円のだし」

「あたしは初めてだけど、楽しそうなところには飛びつく主義だからねっ!」

「私も楽しそうだったから来たんだ〜☆」


 なんか犯人探しというか、推理ゲームが始まったみたいだ。劇場版名探偵エレナ「ショッピングセンターの矛盾(パラドックス)」ってね。


「あっ! ねーねー、あそこの服可愛くない?」


 桃園さんが指さした方向にはマネキンに服が着せられているタイプのお店があった。

 店の顔となる最前列のマネキンにはピンク色の派手なジャケットが売り出されている。


「あっちの服の方がよくないか? 機能性抜群に見えるし」


 吹雪さんが指さした方向にはスポーツ用品がたくさん置いてある店があった。

 そこの一角には確かに服が並んでいる。なんかどれも深緑色で、中には登山するの? って言いたくなる服も多い。


「いやいや〜、女の子にそれはキツイでしょ。やっぱりあっちだって」


 海咲さんが指さした方向にはガッツリ肩が出る服が並ぶお店があった。

 そこには元気な子〜ギャルまでの幅狭いお客さんが来ている。着こなすのは難しいだろう。


「皆さんわかっていませんね。服とはあぁいうものを指すのですよ」


 エレナが指さした方向には落ち着いた、上品な服が並ぶお店があった。

 そこには高校生くらいの女の子から大学生くらいまでが集まっている。


 さて、見事にみんなバラバラだな。あろうことか方向すら全員90°ずつ違うし。しめし合わせたん?

 全員目線を中央で交わらせ、バチバチと火花を散らしている。


「ではこうしましょう。この中で結衣さんに最も似合う服を買ってきた人が勝ち。それなら文句ないですよね?」

「へー。面白そうじゃん」

「いいねそれ。燃えてくる!」

「んふふ……絶対勝つよー☆」


 ん? はっ? なんでいきなり勝負になってるの? しかもなんで着せ替え人形が私で決まってるの? 全部わかんねぇ!


「制限時間は30分! それでは各々のお店に行きましょう!」


 エレナの開始宣言で、お嬢様方はバラバラに散ってしまった。

 ……マジでこちらの気持ちとかを考えてはくれねぇんだなぁ、お嬢様ってもんは。

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