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017 メイドさん奮闘記①

 ごきげんよう皆さま。

 わたくし、とあるお金持ちの家のとある屋敷のとあるお嬢さまのとあるメイドでございます。


 本日はわたくしの仕事のルーティンを皆さまにご覧いただきたく存じます。

 まず朝7時。お嬢さまを起こします。優しく、そっと起こします。天使のような寝顔ですが、おそらく慎見結衣さんとのいちゃらぶストーリーを夢に見ていることでしょう。


 朝食をお出しすると、お嬢さまは凛とした表情で召し上がっていただけます。

 そして朝8時20分。お嬢さまは学校へと向かわれますのでお見送りをします。


 そこからお昼の仕事をして、夕方の5時になる頃にお嬢さまが帰ってこられます。

 夜はお嬢さまに部屋に呼び出され、麗しの姫、慎見結衣さまのことを常に聞かされるのです。まぁ悪い時間ではないですが……少々飽きてしまいましたね。


「お嬢さま、そろそろ結衣さまに本心を打ち明けてもよろしいのでは?」


 そう言うとお嬢さまは首を横に振られた。まだその勇気が出ないと暗に示しているようですね。

 まぁお嬢さまの性格上、いつになってもその勇気が出てくるとは思えませんが。


 勘違いしないでいただきたいのですが、お嬢さまは常に奥手でチキンなわけではありません。こと慎見結衣さんのことになった場合のみ、究極の奥手&チキンが発動するのです。


「ならお電話はどうです? ボイスチェンジャーを使用して、直接結衣さまと……」


 この提案にもお嬢さまは首を横に振ってしまいました。そしてベッドに潜り、足をバタバタさせる始末。

 そんなに好き好き状態であれば一歩くらい踏み出せばいいものを、とは思うのですがねぇ。


 ベッドから手が出てきて、ちょいちょいと私の耳をこまねくお嬢さま。

 なんだなんだと聞きに行くと、小声で結衣さまがお嬢さまに気が付いたかどうか気にしておられるようだった。


 まぁチキンなお嬢さまといえど、まったく気が付かれないとなれば傷つかれるのでしょうね。可愛いものです。


「ヒントは少しずつ掴んでいるはずです。あとは結衣さまが白馬のお姫様となり、お嬢さまを迎えにきていただけることでしょう」


 ついクサい台詞を言ってしまったために、今日は午前2時まで結衣さまの話を聞かされる羽目になるのでした。

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[一言] ホントダレナンダロウナァー(笑) てか、誰なんだ?
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