気球
三題噺もどきーさんじゅうよん。
短い短い…。
お題:気球・カルピス・シーソー
宙を舞う、色とりどりの海月。
―真っ青な空に、赤や緑、黄色といった気球が浮かんでいる。
私はそれを、カルピスを飲みながら、家から眺めていた。
母が持って来たそれは、少しドロっとしていて、味は濃ゆめ。
ぼーっとしながら、眺めるそれはゆらゆらと、フワフワと広い海を、大きな海月が、悠々自適に泳いでいるようだった。
色とりどりの海月は、上に昇ったり下に降りたり。
仲良く、波のシーソーに乗っているみたいだった。
彼らは、とても自由で、楽しそうで
―羨ましかった。
(私も、自由になりたいなぁ。)
その景色を、格子越しでしか私は見ることが出来ない。
いったい、どうして自分がこんな所にいるのかよく分からない。
私は、あの時何をしてしまったのだろう。
毎日会うのは、私をこんな所に縛り付けた、母で、ご飯や飲み物を持ってくるだけ。
外の世界を見ることも許されず、母と私だけの世界しかここにはない。
それでも、外の世界を見たくて。
格子越しの世界だけでも、と、母がいない時は、こうして外に目を向けている。
何十年も、変わらない格子越しの景色を今も淡々とながめている。
自由に泳ぐ海月を見ている。