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ロザリア

「た、多田乃君…?」



アラン・スミシーが自分に覆い被さった多田乃をじっと見た。多田乃は苦悶の表情を浮かべながらもアラン・スミシーに矢が刺さっていないかを確認している。


何処もダメージがないことを確認すると安心したのか、多田乃はその場に崩れ落ちた。慌ててアラン・スミシーが多田乃を抱き止める。多田乃の背中にはボウガンが何発も刺さっており、傷口から徐々に結晶化が始まっていた。



「どうして…こんな真似を…?」


「さあ?正直なところ僕にも分からない。ただあんたを守らなきゃいけないという本能のようなものが働いたみたいだ」



多田乃が苦笑した。アラン・スミシーは急いで多田乃に刺さった矢を抜いていく。しかし、確実に多田乃の体は白く固まり出していた。アラン・スミシーの表情が曇る。



「多田乃君…一つだけ教えてほしい。さっき私のことを「ロザリア」と呼んだね?」


「ああ……どういうわけだか、その名前が頭に浮かんだんだ。気づけば声に出していた」


「…それは私の本名だよ。遠い遠い昔の…それこそ前世の、ね」


「そうか…少しではあるが、僕にも前世の記憶が蘇り出したみたいだ。でも自分の過去の名前だけはどうしても思い出せない」


「それなら私が覚えている。君の名は…」



アラン・スミシーが続けようとすると多田乃は手のひらを前に出して言葉を制した。



「やっぱり聞くのはやめとく。今の僕はくたびれた中年男性、多田乃盆迅(ただのぼんじん)だ。騎士の名前なんて似合わない」


「…全く君ってやつは…」



アラン・スミシーは呆れつつも優しく微笑んだ。聖母のように美しくおおらかな表情である。と、そこへ上空から人影が降ってきた。依代である。その姿は伊能から元のスーツ姿の男性に戻っていた。


依代の姿を見た途端、アラン・スミシーの表情はまたも強ばる。鎌を持って多田乃を庇うように前に出た。



「…全く未練がましい女だ。前世の恋を未だに引きずって、此処まで私を振り回すとは」


「未練がましくて結構。ようやく「彼」と再会できたんだ。お邪魔虫はとっとと消えてくれないか」


「ふん、貴様の目当ては多田乃の前世の姿だろう?こんなくたびれた情けない中年にすがるとは噴飯ものだな。恋は盲目といったものだ」



依代はクククと嘲笑う素振りを見せた。右腕のバンドを二回叩くと再びボウガンを取り出し、アラン・スミシーと多田乃に向ける。



「いいだろう。では二人仲良く永遠に消え去るがいい!」



依代がボウガンの引き金を引こうとした瞬間、依代の左肩に日本刀の刃が食い込んだ。驚いて依代が振り返ると金髪の男が憤怒の表情で日本刀を構えて立っている。



「やい、コラ!いつまでも人を蚊帳の外に置きやがって!俺のことを忘れるんじゃねえ!!!!」


「四天王寺君!」



アラン・スミシーも驚いて四天王寺を呼ぶ。四天王寺はすっかり四肢が回復したのか、五体満足で攻撃態勢を取っている。依代は完全に不意を突かれたことが屈辱だったのか、余裕なく怒りを露にした。



「この雑魚が…大人しく死んでればいいものを…!」



依代の真っ赤な両目が禍々しく光輝いた。

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