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違和感

アラン・スミシーと相対した狙撃者は漆黒のローブに身を包み、右手には狙撃に使用したボウガンが握られていた。ローブのフードを目深に被っているため、細かい表情はおろか性別もハッキリと分からない。ただ言葉は発さずとも動揺しているのは読み取れた。少なくとも身長はアラン・スミシーよりも低いようだ。


アラン・スミシーは大鎌を振り上げると、飛び上がって狙撃者に襲い掛かった。狙撃者は迎撃しようとボウガンの矢をアラン・スミシーに向けて放つ。ボウガンの引き金は一回に引かれただけにも関わらず、ボウガンの矢は数発飛んできた。超速で数発放ったとしても矢の充填が必要である以上は何か特殊な武器であることは間違いない。


アラン・スミシーは飛んでくる矢の軌道を見極め、鎌を瞬時に振って矢を叩き落とした。二発ほど体を掠めるもアラン・スミシーは狙撃者の脳天に鎌を振り下ろす。鎌が屋上の床に突き刺さると同時に衝撃波が広がった。アラン・スミシーが刃の先を睨むが、狙撃者らしき姿はない。



「チッ、避けられたか」



アラン・スミシーが鎌を床から引き抜くと左脚に矢が刺さった。アラン・スミシーは思わず膝をつく。矢の飛んできた方向を向くと狙撃者がゆっくりと此方にボウガンを構えていた。フードの中から朧気に見える口元が笑みを浮かべているように感じられた。アラン・スミシーは矢を引っこ抜くと床に叩きつけて踏み潰した。左脚からは僅かながら血が流れ出している。



「随分とアジな真似をしてくるみたいだね。しかし、この程度で私を出し抜いたと考えるのは時期尚早だ」



アラン・スミシーが鎌を構えようとすると再び狙撃者はボウガンの矢を放ってきた。アラン・スミシーは先程みたいに弾くことなく鎌を横向きにして防御体勢を取る。アラン・スミシーの行為が意外だったのか、狙撃者は一瞬ハッとした表情を見せる。


矢の軌道に合わせてアラン・スミシーは鎌を扇風機の如く一気に回転させ、全ての矢が鎌の柄に刺さるようにした。そして今度は先程と逆向きに鎌を高速回転させて、柄に刺さった矢を狙撃者に向けて弾き返した。



「なっ!?」



狙撃者は思わず声を上げた。やや低めではあるが、中性的な…どこか違和感のある声である。狙撃者は返ってきた矢をかわそうとしたが、数発がローブに突き刺さり、バランスを崩してその場に倒れこんだ。


アラン・スミシーはこの機を逃さず、再び鎌を振り上げて狙撃者の胴体に突き刺した。


手応えあり。…しかし、狙撃者は呻き声こそ上げるものの出血のようなものはなく、刺した感覚も何処か無生物のような違和感を覚えた。動けない狙撃者の顔を拝もうとアラン・スミシーが近づくと、狙撃者の眼光が鋭い光を放った。



「…何者なんだ?貴様は」



アラン・スミシーは鎌を狙撃者に突き刺したまま、ローブのフードを乱暴に剥がした。すると、セミロングの黒髪に眼鏡姿の何処か地味な印象の女性が現れた。とは言うもののその眼光は未だ鋭く、苦悶と憎しみに満ちた表情でアラン・スミシーを見上げている。



「…お前!依代じゃ、ない?!」



アラン・スミシーが動揺していると、突然背後から爆発音と閃光と衝撃波が襲い掛かってきた。慌てて振り返ると先程まで多田乃と一緒にいた市役所の庁舎の市長室が大爆発し、庁舎全体が炎に包まれていた。



「多田乃君!多田乃君!!」



アラン・スミシーは狙撃者に構わず、庁舎の方に向かって力一杯叫んだ。狙撃者はアラン・スミシーの隙を突いて鎌を引き抜くとヨロヨロしながら屋上の出口へと向かおうとする。が、アラン・スミシーは逃がすまいと鎌を振り上げて狙撃者の首もとに刃を当てた。



「…いうんだ。お前の知っていることを全て話せ。返答いかんによってはこの場で首をはねる」



アラン・スミシーは顔を真っ赤にして両目から大量の涙を溢しつつ、狙撃者を脅すように鎌を持つ手の力を入れた。アラン・スミシーの様子を見て狙撃者は観念したようにその場にしゃがみこんだ。気がつくと辺りから救急車や消防車のサイレンが喧しく響き出していた。

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