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打開策

多田乃とアラン・スミシーは市長室のフロアの廊下に出て、窓から離れた一角に逃げ込んだ。壁に背中をつけて、窓の外をじっと睨んだ。ボウガンの矢が飛んできても当たらないように、少し体の位置をずらしながら、狙撃者を確認する。



「しかし、市長が撃たれるなんて…」


「心配はいらないよ、多田乃君。彼の体もあくまで仮初めの物だ。本体が消滅することはまずない」


「だが、神に悟られずに不意打ちしてくるなんて…相手は思った以上の強敵みたいだ」


「そんなことより今の君の方が心許ないだろ」



アラン・スミシーが警告するように多田乃の顔を覗き込んだ。



「狙撃者を見つけたとしてどうやって君は相手と戦う?」


「どうやって、って…そりゃ此処に武器が…」



多田乃は自分の右腕の手首に触れた。が、そこにあるべきバンドがない。多田乃は先程の『神』とのやり取りを思い出し、冷や汗が体から吹き出してきた。



「しまった…さっき没収されたんだった」


「だろ?全く最悪なタイミングで襲撃してきたもんだよ」


「市長室に戻って『神』の手にあるバンドを取り戻そう。まだ間に合うはずだ」


「待ちたまえ!」



多田乃はアラン・スミシーの警告を無視してゆっくりと体を上げると小走りに市長室の扉へと進む。と、そこへ廊下の窓からボウガンの矢が飛んできた。矢は多田乃の目の前に突き刺さる。多田乃は思わず腰を抜かし、身動きが取れなくなってしまった。多田乃はゆっくりと窓の方向へ顔を向ける。


窓の外はネオンが光輝いているが、市役所庁舎の真向かいにあるビルの屋上に人影らしきものが確認できた。どうやら狙撃者は彼処にいるらしい。が、しかし今の多田乃にはどうすることもできない。



「危ない!」



アラン・スミシーは慌てて駆け寄り、多田乃の首根っこを口に咥えると物凄い力で後ろに引っ張った。多田乃が後ろに仰け反ると同時に多田乃がしゃがんでいた位置にボウガンの矢が刺さった。



「す、すまない…」


「彼処から狙われている以上、市長から今バンドを取り戻すのは危険だ」


「では、どうしろと…」


「私に考えがある」



そういうとアラン・スミシーは背中から巨大な羽を生やした。そして窓辺に向けて凄まじいスピードで翔んでいく。アラン・スミシーからの風圧で多田乃は思わず壁際に吹っ飛んだ。



「アラン・スミシー!」


「狙撃者は私が仕留める。君は今の内にバンドを!」



アラン・スミシーは狙撃者のいる市役所庁舎向かいのビルへと向かっていく。途中撃墜しようとしているのかボウガンの矢がアラン・スミシーに飛んできたが、巧みに避けると屋上に着地した。


そしてアラン・スミシーは背中の羽で体を包み込むと大鎌を持つ死神の姿をした妙齢の女性に変身した。その様子を見た狙撃者が驚愕する。



「さて、私がお相手しようか」



アラン・スミシーが狙撃者に大鎌を向けた。

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