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第7話 青年は最強の兵器の性能チェックをする。

前回のあらすじ

ヤダー シリアスヤダー。

 ギルドから帰った今、アリアとの話し合いの最中だ。

 遥は先に雫さんと色々相談するらしい。

 俺たちがギルドを出るまで、遥が一番謝っていた。


「ねえアリア。今回のこと、怒ってる?」


「? 怒ってるって、私がですか?」


「うん、心配させちゃったしね」


「心配はしましたけど、晴近様は被害者ですよ。私が怒るはずがないです。私はいつだって晴近様の味方ですから。仮に晴近様が悪くても味方ですよ」


「アリア、壊れるほど抱きしめてもいい?」


「うっ! 嬉しいんですけど、それよりも私の方こそ許してほしいといいますか……」


「なんで?」


「はい。晴近様が勝負前に、モンスターではなく『テイム対象』って言ったのって、私や遥さんが参加してもいいようにですよね?」


 ……鋭い子だ。

 参加出来なかったから許してほしいと言うのか。


「そうだけど、正確には思わず手出ししちゃった時の保険だよ。『モンスター』だけだと、雫さんが後で物言いをつけてきそうで面倒だったし」


 俺自身はアリアも遥もモンスター枠でカウントしてるけど。


「それと、私を前線に立たせる時の晴近様の気持ちが痛いほど分かりました……」


「本当はあそこまでするつもりはなかったんだよ。【エンペラーファントム】はあくまで万が一の時の為だったんだけど、そこは俺が甘かった。反省だ。まさか、何の躊躇ためらいもなく腕を斬り飛ばしてくるとは」


 もしかしたら魔剣の影響もあったのかもしれない。

 だが、神威武装の有無で罪が軽くなる事はない。

 当の雫さんが自分で言っていたことだ。


「私は未だにあの人の事が許せません……」


「俺も全然許してはないよ。遥があそこまで言うから、猶予を与えただけ」


「なんだかんだで、晴近様って遥さんに甘いですよね?」


「それは否定できないね。でも、俺が一番甘くするのはアリアだよ」


「は、晴近様ぁ」


 途端、アリアはトロンとした目になって甘えてきた。


 その時、ノックと同時に遥が入ってきた。

 雫さんとの相談、早かったね。

 遥はノックこそすれど、返事を待たずに入るクセがあった。

 最近は直ってきてるんだけど、今日は気持ちが焦ってるみたいだ。


「ハルくん、今後の事だけど……。またイチャついてる!?」


 ◯


 翌日、アリアの望みで彼女の実力を確かめる流れになった。

 これまで披露する機会がなかったから見ておいてほしいらしい。


 俺はそれを快諾した。

 とりあえず草原で魔法の試し撃ちという事で決着がついた。

 雑魚モンスター相手だと間違いなくオーバーキルだ。


 別に俺はアリアの実力はそんなに気にしないんだけど。

 大事なのは彼女が傍にいる事だ。

 でも、当のアリアがそう言うなら応えざるを得ない。


 遥は雫さんの所に行くらしい。

 相談の続きを持ち越しているようだ。

 出かける際、俺に質問をしてきた。


「そういえばハルくん、雫先輩を手元に置いておかなくていいの? もしも逃げたら追いかけようがないんじゃない?」


「さすがにそれはないと信じたいけど……。【強制召喚】もする気はないし。まあ大丈夫だよ。念のためにティンダロス──じゃない、【エンペラーヘルハウンド】にマーキングさせてあるから。もし逃げたとしたら、時間空間に関係なく死ぬまで追いかけ続けるよ」


 なにより、今のあの人を手元に置くのは嫌だ。


「ふーん、【エンペラーヘルハウンド】って私も初めて聞いた──って、怖ぁッッッ!!」


 遥は『モンスターヤバくない? 分かってたけど』とブツブツ言いながら出かけていった。


 ◯


「ここが魔法の試し撃ちができる草原ね。神威武装やマジックアイテムを使う時も皆ここを利用してるんだよ」


「広々としてますね。どこに向けて撃ってもいいんですか?」


「注意点としては、範囲魔法を使う時は入念に辺りをチェックする事。それから魔法の標的方向に人がいたら大声で知らせる事かな」


「大声でですか?」


「うん。『フォアーーー!!』って叫んで知らせるんだよ」


「……それ、お父様が打球(だきゅう)って競技をする時に叫んでましたけど……」


「さすが界王様の娘。打球はジェントルの競技でね。ここでの叫び声も、その競技が由来になってるんだよ」


「打球って凄かったんですね!」


 アリアはキラキラした目をしていた。

 嘘は全く言っていない。

 でも、疑いすら抱かないアリアって本当に無垢で良い子だ。


「それじゃあ試し撃ちしてみようか。撃つ順番はお任せするよ」


「はい、それでは【オーロラグリッター】からいきますね!」


 それから順番に、アリアの魔法を見せてもらった。

 どれも破壊力の高い派手な魔法だった。


 最初に撃った魔法は名前の通り、不思議な色彩の光線だ。

 虹のように七色も無いが、玄妙な色合い。

 その中に、星の煌めきのような光が混じっていて綺麗だった。


「いやー……どれも素晴らしい魔法だね。ところで、これって何属性っていうの?」


 魔法には七つの属性が存在する。

 しかし、アリアの魔法はどの属性にも当てはまらない。


 新属性なのは持ち主特権で知ってはいた。

 もしかしたらアリアが何か名付けているかもしれない。


「ありがとうございます。属性ですか? 【アウローラ】を頂いた時から新しい属性に目覚めまして。今までにない属性なので、【星属性】って呼んでます」


「【星】か。アリアにピッタリだね。それじゃあ、次のプロセスに移ろうか?」


「え? 次のプロセスですか? 私の魔法は一通り撃ちましたけど……」


「ごめん、詳しく説明してなかった。テイマーはね、モンスターの動きに指示が出来るんだよ。技や魔法の発動なんかもマスターが任意で発動できるんだ。動きの精彩から技の威力まで、マスターの能力とモンスターとの信頼関係で変動するから非常に大事でね」


「指示は聞いたことありますけど、技の発動……?」


「そう、発動。モンスターのポテンシャルすら引き出せないテイマーなんてゴミクズだよ」


「そ、それはまた手厳しいですね。その、次のプロセスは私、どうしたらいいですか?」


「アリアは俺に心身を委ねる気持ちでいてくれたらいいよ。力を抜いて突っ立ってるだけでもいい」


「わかりました、晴近様にお任せします……!」


「良い子だ。じゃあ行くよ──アリア! 目標二時の方向の大岩! 【エンペラー波動砲】だ!!」


「はい!! ……えんぺらー?? あれえッ!? 勝手に【オーロラグリッター】が発動してる!?」


 そしてアリアの放った【エンペラー波動砲】は、目標の大岩を粉々に砕いた。


「よし。アリアとの信頼関係もバッチリみたいだ」


「あの、晴近様?」


「ん?」


「聞きたい事だらけなんですけど……。魔法の任意発動は辛うじて理解できます。【エンペラー波動砲】ってなんですか!? なんで魔法の威力が上がってるんですか!?」


「まあまあ、順番に説明するよ。技や魔法には適正名プロパーネームっていうのがあってね、その名前で発動するだけで威力が1.3倍ほど上がるんだ。そして、テイマーの能力とモンスターの信頼関係で威力はさらに上昇。今回の火力倍率はざっと二倍ってところかな」


「適正名……」


 アリアはショックを受けていた。


「まだまだ序の口だからね。よし、次々試していこう!」


「わ、私の魔法が汚染されちゃう!?」


 結局今回は【エンペラー波動砲】の試射のみで終わった。

 アリア曰く、『このまま全部試すと立ち直れなくなる』らしい。



 ◯


 今回のリザルト


 テイムモンスター一覧


 ・エンペラースライム


 ・エンペラーゴブリン


 ・エンペラーファントム


 ・エンペラーヘルハウンド(開示)


 ・エンペラーローカスト


 ・エンペラー冬虫夏草とうちゅうかそう


(省略)


 ・遥


 ・アリア




 アリアの魔法(一部)


【スターゲイザー】

 敵を追尾する散弾


【メテオリックシューター】

 上空から小さな星を落とす


【ヒーリングムーン】

 月光の優しさに似た治癒魔法


【オーロラグリッター】

 オーロラ模様の煌めく光線


【ソーラレイ】

 陽光の如き炎熱の範囲魔法


【ステラノヴァ】

 アリアの最強魔法


打球=ゴルフです。

「ファー!」なんて叫んだりもします。

それ(怪我)用の保険も存在するくらいらしいです。

皆さんもフィールドを回る時はボールの飛来には注意しましょう。

私はゴルフやりませんけどもね!!

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― 新着の感想 ―
[一言] ステラノヴァが【エンペラー縮退砲】になりそうな予感(ォィ そしてヒーリングムーン……効果が違うのになぜか平成3部作の次の光の巨人の青い方の技を連想しちゃう(ぇ
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