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徒然  作者: 遮那
98/152

パノプティコン

起きれば灰色 壁を見ておはよう 暫く朝日は拝んでない

円形のお部屋 真ん中の柱 看守の皆さん見張る部屋


量ある三食 寝床は綺麗で お風呂にトイレも備え付き

言われた通りの 労働勤しみ 静かにしてれば罰も無い


見つからないよう小さく刻んだ「正」の文字

いつから止めたかそれすら忘れた


パノプティコン 小さな看守の窓が怖い

油断大敵 比較的快適に

過ごしてる様でも内心ビクビク


次から次へと 毎日新入り 一通り教えるここのルール

仕来り疑問に思ってはいけない なるだけ波風起こさない


外とのたった一つの接点 木のドア閉ざした窓

開けないでおくれ 陽射しが眩しすぎる


パノプティコン 昼夜問わずに灯ってる

天井の灯り 今では何よりです

すっかり機械化 脳味噌蕩ける


無意識でいてかつ自発的な「自己の検閲」「奴隷的服従」

このまま良いはずなんかは無いけど 「外」には出たくない


パノプティコン ここに収監したのは

他の誰でも無い 「芯」を無くした己自身

壁のひび割れを 目にして無いとは言わせない

事なかれ的に 誤魔化すのは無理

出獄の時だ 今こそ立ち上がれ か細い勇気を無理矢理奮って

外の景色をしかと御覧じろ

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