徒花
加減を知らない照りつける太陽
草木の痕跡 影も見当たらない
地平の最果て砂礫の山々
耳につくのは辺りの静けさ
颶風が織りなす黄色いカーテン
その中コソコソ蠢く人影
ゴツゴツ骨張る身体の節々
日に焼け黒々お顔は皺くちゃ
右へ左へ風に吹かれても
気にも留めずに黙々ひたすら歩いてる
誰に頼まれるでもなく腰を折る
かつては青々茂ってた砂漠で
種を蒔いても苗を植えても水をいくら与えてやっても
枯れてしまうのは百も承知で
埃を巻き上げ時折すぐ傍
通り過ぎるは難民輸送バス
向かうは遠くの小さなオアシス
空へと聳える高層ビル群
我が世の春だとやたら嘯き
少ない緑を食い潰しながら己を殺している
誰に頼まれるでもなく腰を折る
かつては青々茂ってた砂漠で
「そんなことして何になる?無駄だからそろそろやめちゃいなよ」
百も承知なんだからほっといて
掬い取っても指の隙間からサラサラ溢れる
過去より連綿引き継がれてた文化のカケラ
希望を持たずに目先の利益を追い求めた報い
もはやこれまで 後は少しづつ朽ちてくだけなのか
火傷をするほど熱い砂の中出て来た芽たちを
優しく我が子のごとく世話をする世捨て人
たとえもうじき枯れ逝く運命の徒花であったとしても
辺りに散らした花びらを見て
気付く人間ちょこっと増えれば良い




