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徒然  作者: 遮那
88/152

徒花

加減を知らない照りつける太陽

草木の痕跡 影も見当たらない

地平の最果て砂礫の山々

耳につくのは辺りの静けさ


颶風が織りなす黄色いカーテン

その中コソコソ蠢く人影

ゴツゴツ骨張る身体の節々

日に焼け黒々お顔は皺くちゃ


右へ左へ風に吹かれても

気にも留めずに黙々ひたすら歩いてる


誰に頼まれるでもなく腰を折る

かつては青々茂ってた砂漠で

種を蒔いても苗を植えても水をいくら与えてやっても

枯れてしまうのは百も承知で


埃を巻き上げ時折すぐ傍

通り過ぎるは難民輸送バス

向かうは遠くの小さなオアシス

空へと聳える高層ビル群


我が世の春だとやたら嘯き

少ない緑を食い潰しながら己を殺している


誰に頼まれるでもなく腰を折る

かつては青々茂ってた砂漠で

「そんなことして何になる?無駄だからそろそろやめちゃいなよ」

百も承知なんだからほっといて


掬い取っても指の隙間からサラサラ溢れる

過去より連綿引き継がれてた文化のカケラ

希望を持たずに目先の利益を追い求めた報い

もはやこれまで 後は少しづつ朽ちてくだけなのか


火傷をするほど熱い砂の中出て来た芽たちを

優しく我が子のごとく世話をする世捨て人

たとえもうじき枯れ逝く運命の徒花であったとしても

辺りに散らした花びらを見て

気付く人間ちょこっと増えれば良い

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