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徒然  作者: 遮那
84/152

ターミナル

短編一冊読めちゃうくらいに

鈍行揺られて

イヤに明るい到着ロビーに

上がって見れば


表示板には延着の印


ゲートの柵に両腕かけて前のめりに

待ってる人があると思えば壁に寄りかかり

静かに出口に視線を外さずジッとしてる人

私もあの人を倣う事としよう


素振りも見せずに書き置き残して

出てった男

今まで何にも連絡寄越さず

急に帰るって


相も変わらず身勝手な男め


目の前盛んに繰り返されてる感動の再会

親子が友が恋人達が握手し抱き合う

人がたくさん犇めく所でアタシはムリだなぁと

一人で口元浮かべる苦笑い


何便で来るのかそれすら知らせず迎えに来てなんて

呆れて何も言えないけれど 来ちゃうアタシもアタシ

合間に自販機コーヒーを二つ両手に持って

文句を垂れつつ待ってる姿は好い面の皮


やっと出て来たアンタはすぐにアタシを見つけて

まだゲートを出切らない時にコッチに手を振る

何かイヤミを一つや二つ考えたけれど

思うより先に足が前に出た

こりゃもうしょうがない アタシはヤだけど

何も言わずに抱きついてやる

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