83/152
fin.
余す事無く敷かれた黄葉
秋の訪れ知らせる初嵐
そこはかとなしに響き渡るは
虫達の声々
西日差し込む縁側に一人
麗らな陽気に当てられ思わず
居眠りうたた寝若い頃の夢
そればかり思い出す
外から聞こえる明るい笑い声
下校途中の幼き童達
見るモノ聞くモノ全てが新しく
それを知るのがきっと楽しいのだろう
どんな事でもはしゃげるのが
どこかで羨ましい
人生半分過ごした辺りから
心を占めるは幼き日の記憶
景色は朧げ顔すら曖昧
でも匂いだけは確か
「まだまだ若いですよ」って
これほど辛い言葉は無い
何の因果か生まれたからには
”終わり”が来るまで生きなきゃいけない
思考で生きてく悲しい動物
無理矢理理由をつけてく人生
それでもめげずに今まで生き抜いた
後は死ぬべき時に
笑えるかどうかだけ




