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徒然  作者: 遮那
53/152

トラットリア

静まり返った住宅地の片隅に

ボーッと看板の灯る店一件


深夜問わず客は大入り満員

そこで働くアタイはアプランティ


ソラで言える先輩の嫌味を BGMに我武者羅に今夜も

黙々と注文の品を調理する 目に沁みる汗も拭う暇もない


そこかしこから漏れ聞こえるわ 黄色い歓声

同じ味の分かるもの同士 会話も弾む

ようこそいらっしゃい トラットリアへ

それ相応が寄り集まるHabor


ほんの束の間少なめのインターバル

厨房から覗き込めば


パッと見 絢爛豪華なフロア

でもどこかちょっと胡散臭い


グルメぶってアレコレ言う知ったか 

他人の失敗によく鼻が効くクレーマー

それでも笑顔で相手するウェイター

凄いと思うけど 別にあぁはなりたくなんかない


そこかしこから漏れ聞こえるわ 下品なLaughter

特に捻りもない料理に舌鼓を打つ

あんな程度で満足するのかと

何だか力負けした感じだわ


こっちの価値観押し付ければ 向こうは煙たがって逃げて行く

そんなこと分かってるつもりだけど

でもやっぱりこのまま妥協し続けていくのは絶対に間違ってるわ 

そうでしょ?


そこかしこから漏れ聞こえるわ 甘ったるい嬌声

男に媚び売り何を相手から貰おうとしてるの?

まぁ今のアタイにゃ関係のない事 休憩も終わる

いつか絶対独立するのを決意し

白いシャツに袖を通す


「試しに今度スパイスを変えてみようかしら…?」

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