トラットリア
静まり返った住宅地の片隅に
ボーッと看板の灯る店一件
深夜問わず客は大入り満員
そこで働くアタイはアプランティ
ソラで言える先輩の嫌味を BGMに我武者羅に今夜も
黙々と注文の品を調理する 目に沁みる汗も拭う暇もない
そこかしこから漏れ聞こえるわ 黄色い歓声
同じ味の分かるもの同士 会話も弾む
ようこそいらっしゃい トラットリアへ
それ相応が寄り集まるHabor
ほんの束の間少なめのインターバル
厨房から覗き込めば
パッと見 絢爛豪華なフロア
でもどこかちょっと胡散臭い
グルメぶってアレコレ言う知ったか
他人の失敗によく鼻が効くクレーマー
それでも笑顔で相手するウェイター
凄いと思うけど 別にあぁはなりたくなんかない
そこかしこから漏れ聞こえるわ 下品なLaughter
特に捻りもない料理に舌鼓を打つ
あんな程度で満足するのかと
何だか力負けした感じだわ
こっちの価値観押し付ければ 向こうは煙たがって逃げて行く
そんなこと分かってるつもりだけど
でもやっぱりこのまま妥協し続けていくのは絶対に間違ってるわ
そうでしょ?
そこかしこから漏れ聞こえるわ 甘ったるい嬌声
男に媚び売り何を相手から貰おうとしてるの?
まぁ今のアタイにゃ関係のない事 休憩も終わる
いつか絶対独立するのを決意し
白いシャツに袖を通す
「試しに今度スパイスを変えてみようかしら…?」




