Take my time
疲れた腕でガラス戸を押し開け表へ出れば
目の前忙しなく行き交う人々 師走の様相
オフィスの暖気に火照った ほおに刺さるは空っ風
あまりの容赦のない冷気に思わず マフラーに顔埋める
手元の時計を気にしながら駅へ急ぐスーツ姿
きっと彼ら一人一人にも 愛し愛される人がいるのだろう
ノロノコと先に進まぬ人通り
様々な二つの影が彩られた街路樹に見惚れては止まる
まぁ残業なく上がったし 一々苛つく事は無い
まだ時間もたっぷりある事だし
駅前人でごった返す行きつけの茶店
昼過ぎは空いてるのに嘘のような喧騒
本から視線をずらせば向かい合う若男女
お互い目が合えばただ微笑み合う
見てるだけで一人ニヤケてしまう
ノロノコと先に進まぬ人通り
様々な二つの影が彩られた街路樹に見惚れては止まる
独りでいるからって恥ずかしがる事もないし羨む事もない
また静かに本に目を落とす
一昔前の気にしいな私なら
他人の目ばかり気になって下向いて歩いてた
相手がいない事に見えないプレッシャーを感じていて
誰かを好きにならないと
ダメだというような世の風潮
そんなの無理しなくて良いよと肩を叩いてくれたアナタ
会ったらさっきの男女の話でもしようかな
まだ通りは人で溢れている
でも大丈夫 まだ時間もたっぷりある事だし




