35/152
uncanny
小夜更け辺りは静寂に包まれ
眠りに落ちようにも 益々目は冴え
得体の知れない不安に胸は締め付けられ
フイに妙な気配を感じ洗面台へ
鏡の前に一人立ち問いかける
目の前にいるアナタは誰?
何処から聞こえてくるのか頭の中響く
天使と悪魔が執拗に責め立て
じっくり一人で考える猶予も与えず
心をジワリと削りとってゆく
白き人は理想的在るべき姿を求め
黒き者は甘美な香りで心を揺さぶる
己誤魔化し世の理に従うか
蔑まれても我が道を行くか
何処から聞こえてくるのか頭の中響く
天使と悪魔が執拗に責め立て
慌てふためく私を見て顔に湛えるのは
どちらも同じような嗤笑
何度も巡って来た分かれ道
変われるチャンスはあったのに
忙し過ぎる日々のせいにし
その声を無視し続けてきた
何処から聞こえてくるのか頭の中響く
天使と悪魔が執拗に責め立て
決して戻れることない道に思いを馳せ
また日常へと身を委ねる




