サクラ、花、舞イ、流レ
麗らかな陽射しを浴び 輝き放つ水面に
甘い香り纏い 枝垂れる川桜
まだ冷たい初春の 風が吹き抜けて
花びらは散り ひらり舞い踊る
一人じゃ生きられない故に 互いの心をぶつけ合い
砕かれた欠片の上を 踏みしめ歩いてく
手にしたと思ったら 何処からか零れ落ち
あったことさえ忘れてく
無言の叫びを その身に纏い
川の流れに乗って
我らの憂いを届けておくれ
母なる大海原へ
子供の描いた絵は 突拍子もなくて
太陽には顔が付いてたり 月では餅をついてたり
でもその矛盾は 希望だったんだよ
そこには無限大の 可能性が広がっていたのに
理性を押し通せば やっぱり無理が出てきて
理想と現実の狭間で 危なく揺れる
流れに逆らう者を 変人にしたてる
己を正当化するために
でも安心した瞳の奥に もう一人見えるよ
口を手で塞ぐアナタが
幾重にも重なる人々の想いが
「常識」の前に散る
花天井の下で 立ち尽くす傍を
少女が駆け抜ける
おさげ髪を揺らし 明るい声を上げる
懐かしい香りがした
情の入る余地のない 作り物の理に
肩まで浸かりきってる
そんな私でも桜吹雪の中 涙が頬を濡らし
花びらが触れた
どうやらまだ救いがありそう
この一枚を風に託すよ




