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Pass
むずかりながらも手を引かれるまま
とぼとぼ歩いた山道への道
綺麗に敷かれた通りは同じ
背丈の子供で溢れてごった煮
山とも丘ともはっきり言えない
その頂まで渋滞は続く
なだらかな斜面土気のない道
楽ではあっても面白みは無し
交通整理をしている大人の
背後に広がる暗い森の木々
幼い心を捉えて離さない
大人の制止を振り切りガムシャラ
茂みの潰れた筋辿りゆけば
静かに佇む苔むした鳥居
入り口を示すやっとの目印
昔は誰かが歩いてたんだろう
地蔵がひっそり柔らかな笑み
手を使わなくちゃ登れない巨岩
準備をしないで来たから泥んこ
ここまで向こうの賑わい聞こえる
もう戻ろうかと臆病なるけど
今更引けないゴールがあるのを
信じてひたすら登って行くだけ
手を引く大人を見てれば悟れる
このまま惰性に歩けばこうだと
楽して見えても活気のない顔
その姿を見て子供はそれなり
小さい時分で絶望している
草木と戦い擦り傷だらけで
拓けたところに出たのは夕暮れ
麓を見てみりゃ明かりが眩しい
夜に包まれて膝を抱え込む
ほおを撫でて行く風が心地よい
ぼっちだとしても淋しくなんかない