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桜花
玄関開ければ初夏の様相で
陽射しが燦々新緑を照らし
今春通して風が吹き荒れて
地面に広がる薄桃の花びら
やはり花は桜木
人ならば武士
醜く枯れずに
潔く散る
姿に釘付け心が騒つく
お見舞い着替えをたんまり抱えて
病院入口混み合う待合
壁にはビッシリ病気の品書き
なるだけ長生きしましょう合唱
腰曲げ杖つく
苦々しい顔
チューブに繋がれ
生気のない顔
死に時失いひたすら枯れてく
戦のない時代
技術革新の時代
満ち足る感覚
掴みづらい時代
儚く散るモノ対する同調
未だに心の奥底居座る