114/152
頽落
東雲の朗らと 明ければ重たい瞼を開け
身仕度早く済ませ 未だ夜の気配残る街へ
人目を惹くため多様な趣向で
凝りに凝られた中吊り広告
ウンザリしててもツイツイ目で追う
自堕落に気儘に 悩み少なく生きて行きたい
汚れモノが嫌い しかと己を見たくもない
その癖どこかで 「今」が善いとは思えれないから
不安が解消されることは無い
停まる毎乗り込む 同じ格好同じ表情
息苦しくても 安堵しちゃってる私がいる
駅の掃除夫お店の店員
勝手に彼らを「下」だと見下し
まだ大丈夫だと己に目瞑る
「下」ばかりを見て 「上」を一切見ようともしない
ナニカを突き詰めない 曖昧なままで蓋閉める
葛藤したくない 考えたくないなんていうのは
自ら「ヒト」の証を捨てること
共有している 価値観皆無な今の世の中で
譲れぬ信念 持って生きるには苛酷過ぎる
堕ちれるトコまで 堕ちれりゃ救いがあろうもんけど
「ヒト」というのは厄介なモノで
それすら半端で底まで行けない