~戦いの始まり~
こうしてファミレスで話をしているのは俺たちだけではなかった。このゲームは対応する者全てが強制参加するというものであり、周りは常に敵しかいないと思っておくべきである。つまりこういった公の場で作戦会議をするなど愚の骨頂である。そう思っていると宮下から提案があった。
「これからの話は私の家でするのがいいと思うの。」
…………………えっ!?
「確かにジュース飲めないのは残念だけどこの際仕方ないか」
光井は事の重大さに気づいていない。だってこれから宮下の家に行くんだぞ。
「宮下本当にいいのか?家に行っても?」
「大丈夫ですよ、私一人暮らしですので親とかに迷惑かかるなんてことはありませんので」
大学のときグループで遊んでいる中どうしても宮下の家で二人きりで遊びたいと思っていた。そんなことを言う勇気なんて全然なくて、まさかその夢が今になって叶うなんて。俺はこの時初めてこのゲームをやって良かったと思った。
「葵ちゃん気をつけた方がいいよ、悟は何かとんでもないことを妄想しているに違いない。」
すっかり忘れていたが光井も一緒だった。
他愛もない話をしながら俺たち3人は宮下の家へと向かった。ファミレスからは遠くなく15分ほど歩いた場所に宮下が住んでいるマンションに着いた。
「さぁどうぞ、あまり広くないお部屋ですが」
宮下はそんなことを言っていたが一人には充分すぎるほど広いお部屋で全体的に白色で着飾っていた。もっとぬいぐるみとかたくさん置いてある感じを想像していたが子供っぽさはなくシンプルの中にも上品でまとまっていた。
「もうこの部屋に住んで三年になるけど人を呼んだのは初めて」
まさか宮下の初めてが俺になるなんて。
「葵ちゃんすごいきれい好きだね。私の部屋とは大違いだよ」
笑いながらそんなことを言う光井に思わず笑ってしまった。
「ちょっと悟、何笑ってるのよ」
「だって正直俺は光井のこと色々知ってるけどお前にときめいたことなんて一度もないって言い切れるよ。」
宮下と光井を比べるとその差は歴然だ。
「葵ちゃん、悟はあんなこと言ってるけど私は高校の時かなりモテてたの」
「自分でモテてたとかいうやつは大してモテてないのが真実なんだ」
「なんだとー、悟のばか」
光井と口喧嘩をするのもなつかしいなと思った。ここ最近はずっと家にいてテレビを見て部屋で携帯いじってをずっと繰り返していた。それを一年近くしていた俺はどれだけもったいないことをしてたんだろうとこの時思った。
「なんか私の知ってる佐倉くんは、頭良くて周りのことを良く見てクールな感じだったんだけど、今の佐倉くんは見てて楽しいよ。それに今日初めて会った光井さんも明るくてとても親しみやすい感じで私は好きです」
「葵ちゃん、光井さんなんて呼ばずに下の名前で呼んでよ、私のことは鈴《
りん》って呼んで」
「分かった、それじゃこれからよろしく鈴」
二人が抱きしめあってるのを隣で見つめていた。