~戸惑い~
「光井は宮下と知り合いだったのか?」
「流石の悟も驚いてるわね。この子とはつい最近知り合って仲良くなったの。あんたを引っ張りだすためにってこと」
もしそれが本当だとしたら少し矛盾している。なぜならこのゲームの内容はつい先ほど知ったのは俺だけではないはず。他のやつらにも届いていて見たのは矛盾している。
「冗談じゃない。そんな嘘を言ってないで正直に話せ。大体このゲームの内容はついさっき知ったはずだ」
そう言うと光井はニヤリと笑い俺にドヤ顔でこう言った。
「確かに普通はそう推理するよね。それじゃもしそれが個性によるものだとしたらどうかな?」
なるほどそういうことか。確かにそれなら辻褄が合う。
「つまり光井の個性は知りたい情報がすぐに分かるというものか?」
「そうなの。携帯で調べても分からないことがすぐに私の頭に直接聞こえてくるの。この個性はとっても強力な武器になるんだけど理由は分かるかな?」
「なるほど、それなら俺の個性は言う必要がないってことか」
光井のこの個性を使えば相手の個性と属性が分かるということだ。
「それは確かに強力すぎるな。もうお前一人で勝てるんじゃないか?」
すると光井は深刻な顔をして俺に言った。
「そんなすごい個性がずっと使えるわけないでしょ。これは使う度にTマネーを消費するの。持ってる1/4も使って」
「そんなに消費するんかよ。それじゃあまり使えないじゃないか。」
期待した俺が馬鹿だった。でも強力な個性には変わりない。これは使い方が重要になってくる。
「ということは宮下のことを知るためにTマネーもう使ったってことか?」
「そういうこと」
そういうことって言ってる場合じゃない。もうすでにTマネー75しかないってことになる。正直光井はあまり頭が良くない。だから今回あいつの知り合いの中で頭が良い俺を完全に頼りにしているというわけだ。あとは宮下の方だが正直会うのはとても気まずい。今でもしっかり目を見て話せない。
「正直私、佐倉くんのことすごく後悔してたの。私のせいで佐倉くんが学校に来なくなったって思ってたから」
確かにその通りではあるのだが、結局は自分自身の弱さのせいで中退を決断したのだ。宮下が本当にいい子というのは今日改めて思った。
「宮下、俺の方こそ急に何も言わずに辞めてしまってごめん。宮下は何も悪くない」
そう言うと今度は光井が
「そうだよ葵ちゃん、悟は葵ちゃんみたいなかわいい子とは釣り合ってないよ、あれだねこういうのを高望みしすぎたって言うんだよ」
自分で思うのは分かるが他人から言われるとこうも腹が立つんだと思った。
「宮下、話変わるけどこのゲームのことどう思ってるんだ?もしやる気がないならすぐに別のチームに行くことをオススメします」
すると悲しそうな顔をしながら宮下はこう言った。
「そんな寂しいこと言わないで下さい。私は佐倉くんと一緒がいいんです」
宮下は俺と違ってかなりの人気者で今回のゲームとかだといくらでもチームに誘いたいと思う奴はいるはずだ。これからもし真剣にするのであれば必ずそういったケースが考えられる。まだ始まってすぐだが勝ち抜けるビジョンがまったく見えない。そしてもう一つ、典型的なミスをしていることに気づいてない。
「いいか、本当に勝ちたいのであれば同じ属性ばかりではダメだ。つまり幅広い年齢でチームを組まなくてはならないということ」
すると光井が
「そっかー、確かにその通りだね」
そう言って笑った。
今のがボケとかではなく本当に素で出たものならば使えない奴確定になる。