~再開~
そのメッセージとは、高校の時同じクラスだった光井鈴からだった。
「あんた今実家にいるって聞いたんだけど、まだいるなら会いたいんだけどいいかな?」
「悪いけど引きこもっているので会うことは出来ません」
大体なんであいつと会わなければいけないんだよ。なんて思っていると母さんから電話がきた。
「もしもし、悟に会いに来たって女の子きてるんだけど」
まさかと思って部屋から外を見ると光井の姿がそこにはあった。
まじかよと思ったが放っておくわけにもいかないので寝巻きのまま玄関へと向かった。
「久しぶりね悟、その格好はひどいから早く着替えなさい」
「まさか本当にくるなんて、もう帰っていいよ」
「なんでよ、外行くわよ」
全然乗り気ではなかったが仕方なく外に出るため着替えることにした。
用意に30分かかり光井と近くのファミレスに向かった。
「用意するのにそんなに時間かからないでしょ、女の子じゃあるまいし」
「男女差別は良くないと思います。女子はすぐにそういうこと言うから嫌いだ」
久しぶりに光井の顔を見たが高校の時よりも大人っぽくなってた。昔はこいつといることが多くてよくつるんでいた。その時は全然異性として見ていなくて何にも思っていなかったけど客観的に見るとかわいい方なのかもしれない。
「何まじまじ見てるのよ」
「別に見てねえよ、自意識過剰か」
そういうと光井はクスッと笑った。
「良かったよ、あんた大学を中退したって聞いたから心配したよ。あんなにがんばって勉強して入った大学だったのにどうして?」
「光井には関係ない、色々あったんだよ色々と」
大学のことはもう思い出したくもない。
「どうせ人間関係とかで辞めたんでしょ、あんたは理解してもらえる人少ないんだから。私がとってもできた人間だから会話が成立するの。」
「自分でできた人間とかいうやつに理解してもらいたくないね」
「またそういって根暗なこと言って。まぁそんなことより大事な話があるからあんたを呼んだの。」
おそらくその大事な話というのは大体予想がつく。正直一人でどうこう出来る問題ではないからな。
「ゲームのことだろ。確かに一人で行動するよりチームで組んだほうが勝率は上がる。でも正直勝ち負けなんてどうでもいい。こんなゲームちゃっちゃと終わらせて…」
言いかけると光井はテーブルの手を強く叩いた。
「私は本気だよ。絶対負けられないの」
いつも明るく能天気な光井が真剣な顔で俺に言った。
「私は今回のゲームで勝つためにあんたを呼んだの。お願いだから力を貸して欲しい。」
なぜそこまで言い切るのかは分からないが助ける義理は正直ない。
「俺よりもっと頼りになるやついるだろ。光井は選ぶ仲間をもっと慎重にするんだ。今のお前と俺とじゃ明らかにモチベーションが違う。」
すると光井は声のトーンを落として静かに俺にこう言った。
「それじゃモチベーションを上げさせてあげる」
そういって光井は携帯で誰かに電話をした。
「確かにあんた一人なら心持たないのは事実ね、私はもう一人助っ人を呼んでるの」
そういった後に現れた人物は驚きを隠せなかった。どうしてここにいるんだ?
「佐倉くん元気にしてた?」
現れた人物は俺が大学にいた時ずっと好きだった女の子、宮下葵だった。