表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人の世に生きる斉天大聖たちの日常。

作者: 嘉神かろ

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


画像上:自作

画像下:あさぎ かな様より

 ああ、また、今日もか。


 朝目を覚ますと同時に思った事。感じたその感覚。


 目覚ましのアラームが空気を揺らす。


 めてくれ。普段なら何ともないこの音さえ、今は辛いんだ。


 必死で手を伸ばすが、あと少しが届かない。


 ああ、脳の芯がこれでもかと揺らされる。


 誰か、代わりにめてくれ。


 頭に打ち込まれる、大気圧という名の杭に我を失いそうになる。


 いや、いっそこのまま意識を手放せたならば、それはどれほど幸せだろうか。


 そんな些細な願いすら叶わない。蜘蛛の糸を垂らしてくれる存在は、いない。


 嘗て人々が神と崇めた、自然の力。


 しかし幾つもの悲劇を生み出したソレらと比べると、恐ろしい程に地味なソレ。


 それでも、人の身ではどうにもする事ができない。


 そんな厄介で忌々しい現象が生み出す痛みを耐えつつ、なんとか音波兵器を停止する。


 ーーうん。いくらかマシにはなった。これなら、意識を手放す事も出来るかもしれない。


 その筈、だった。


 ああ、階下から響くこの声。呼ばれている。


 起きろ、遅刻する。


 何を言っているんだろうか。そもそも上体を起こす事さえ叶わないというのに。


 わかった、わかったから。今すぐ声を小さくしてくれ。


 そんなものでも、今の自分には禍々しい呪いの剣となんら変わらないのだ。


 布団を頭まで被り、その攻撃から身を守りたいところだが、たったそれだけの動作でも今は難しい。


 煩い煩い! だいたいコレの為にどれだけの人が自殺まで追い込まれたと思っているのだ!


 ーーはぁ。やっと諦めたようだ。


 ああ、誰だ。この万力のネジを締めるのは。


 めてくれ。


 これ以上は無理だ。


 あらゆる感覚が、ただ一種類のその電気信号によって塗り潰される。


 せめて薬が効いてくれれば……。


 そこで限界だった。


 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛iiiiiiiiiiiiiiiiii……。


 ーーああ、もう、お昼か。通りで楽になってきたはずだ。


 ……どうやら、またベッドから落ちていたようだ。


 今日は、耐えられた。耐えられてしまった。


 次はいつ来るのか。


 怖い。

偏頭痛は、痛くなってから薬を飲んでもダメなんです。


※痛みの程度には差があります。ここまでにならない人もいますが、辛いことに変わりはありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ