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第6話 裏方教師

仕事で怒られました。落ち込見ながら執筆してます。

 安藤先輩の手によって張り出された定期テストの点数。この行動には賛否両論あったようだ。

高得点を取っている成績優秀者からは賞賛されており、点数の低い生徒からは反感を買っている。


 安藤先輩に対する怒りが抑えきれず北村を中庭に残し生徒会室に向かった。


 生徒会室には相原と高瀬、それとしたり顔の安藤先輩が座っている。


「安藤先輩。なんで生徒全員の点数を掲示板に張り出したんですか」


「ああ。あれのことか。点数を張り出す学校は他に もあるだろう。今までうちの学校にはその制度が無かっただけの話さ。やる気を向上させるには良い策だろう」


 安藤先輩の言っていることも一理ある。全生徒の点数を公開している学校は存在するし、やる気が向上するのも間違いではない。


 しかし、今回の安藤先輩の行動に限ってはそんな意味は無い。北村の点数が悪いことを知り公開しただけの薄汚い行動だ。


「安藤先輩が点数を公開したのには他に意味があるでしょう」


「他に意味?そんなものはない。私は生徒の学力向上を望んでいるのだよ」


「そうよ。何馬鹿なこと言ってんの。安藤先輩が言ったとおり学力向上は必要なことよ」


「ほら。生徒会長もこう言ってるんだよ。何か文句でもあるかい?」


 くそっ。相原にそう言われては太刀打ち出来ない。相原を愛し、相原のために行動する俺にとって相原からの反感にはお手上げだ。


「そっか。そうだな。すいませんでした。今日はもう帰ります」


 そう言い残して俺は生徒会室を後にし北村の元に向かった。


 北村には教室で待って置くように伝えてから生徒会室に来たので北村と合流しファミレスに向かう。


 次のテストは一週間後。3日間に渡って行われるテストでは5教科と言われる国語、数学、物理、社会、英語の5教科の他に保険体育や家庭科等の、言ってしまえばどうでもいいテストがある。


 北村には重点的に5教科を教えなければならない。


「よーし勉強するぞー。あの点数みると全強化が苦手って感じだな」


「ああ。どの教科も苦手だ」


 これは先が思いやられるな。1つや2つ苦手な教科があるくらいなら楽なもんだが全教科か。


「吉見。なんか元気無くないか?」


「そりゃ今からおまえに全教科教えるって考えたら参っちまうよ」


「いや、それもそうなんだがいつもと違って落ち込んでるなって」


 なんだ、お前も高瀬と同じで人の気持ちがわかるのかイケメンか。相原の反感を得た事にショックを受けているのは間違いない。元気が無いと思われているのは間違いなくそのせいだ。


「何があったか知らないが、あんまり落ち込むなよ」


「今から勉強教える奴に励まされてもな」


 その後、北村と俺はファミレスで5時間程度勉強を続けた。全く勉強ができない奴に勉強を教えるのは骨が折れる。だがまあ今回の状況も前向きに捉えればチャンスだ。


 勉強の出来ない北村の点数が一気に上がったら生徒たちはどう思うか。勉強を頑張った北村を認め評価はうなぎ登りだろう。


 そして相原の俺に対する評価も……。


 だめだ。俺が北村に勉強を教えた事実は秘密なんだった。裏方活動、悲しいもんだ。


「どうだ北村。一通りテスト範囲を網羅したが手応えは」


「……正直自分でも驚いてる。こんなに問題をスラスラ解けるなんて」


 そうだろうそうだろう。俺の教師スキルは相原へのカンニング回答の作成でかなり高い。


 勉強ができない人に勉強を教えるのは難解ではあるが逆に簡単でもある。

変に賢い奴は間違った知識や固定概念があり勉強を教えづらい。全く勉強が出来ていない白紙の状態の北村を教えるのは容易なことだった。


 北村に勉強を教えることでおれのテスト範囲の復習にもなったしな。


 その後1週間、北村は自宅で勉強を続けた。


 そして定期テスト当日。北村にはテスト範囲を十分に教えたし乗り切ってくれるはずだ。


 チャイムが鳴り席に着いて問題用紙と答案用紙が配られる。全員に配り終わったことを確認すると合図と共に答案用紙をめくる音が聞こえる。


 そして問題用紙を見て愕然とする。


 テスト範囲の部分が全く出ていない。ある程度勉強ができる奴なら何とかなる内容だが北村となると話は別。テスト範囲は教えたが応用となると厳しい。


 恐らくこの出題内容も安藤先輩の差し金だろう。


 今回のテストは北村が生徒会に生き残るために必ず良い点数を取らなければならなかった。


 俺は抑えきれない怒りを押し殺し淡々とテストをこなした。

めげずに頑張ります‼︎

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