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第5話 生徒会ロワイヤル

楽しんでもらえると幸いです。お願いしま‼︎

 今日もいつも通りの朝。閑静な住宅街を相原と高瀬と3人で登校している。

 学校に向かうだけの登校ルートにも思い入れがある。


 相原は犬が苦手で近くにいると身体をぷるぷると震わせる。その姿はさながら小動物のようで普段の凛とした態度からは想像もつかない姿だ。

昔は怯えて俺にくっついてくることに嬉々としていたが、ある日急に罪悪感に苛まれた。相原が可哀想になった。犬は怖いし俺はキモいし。


 だから俺は相原が登校ルートにすると思われる道を調査し犬を買っている家を把握。安全な道を導き出した。


 無論、この道を犬の散歩道として使っている人もいない。若干の遠回りにはなるが俺はこっちの道が好きだと言い張ってこっちのルートから登校してもらっている。

そして今日も犬に出会うことなく学校に到着。早速生徒会室に向かい仕事の内容を確認している。


 生徒会の主な仕事は部活動の予算割り当てや行事の運営、その他諸々の書類の整理等様々だ。

 

よし、確認したところトイレ掃除は無い。やった。


「吉見は仕事が無さそうだからトイレ掃除でもしてなさい」


 トイレ掃除有る。悲しい。


 相原の命令にえむっ気のある俺は若干頬を緩ませたが必死に耐える。バレたら軽蔑される怖い。


 まあトイレ掃除は嫌だが相原がそれで喜ぶなら本望だ。裏方の仕事が表向きになっただけの話である。


「生徒会室もちゃんと掃除しなさいよ。また安藤先輩に掃除をさせるわけにはいかないわ」


「おけー。任せとけ」


 やはり相原は安藤先輩が掃除をしたと認識している。普通を装ったが恐らく俺の顔は少し暗い。


「よしみん、ファイトだよ」


そう言いながら俺の肩をポンポン叩く高瀬。野球で例えるならピンチを迎えたピッチャーに内野陣が声を掛けるあの場面が丁度いいだろう。


高瀬。お前はすごい。俺の顔色が変わったことに気付く観察力、すぐさま慰める優しさ。俺は高瀬が好きになりそうだよほんと。


「これからどうするの?私とあいちゃんはともかく、よしみんと北村くんは安藤さんに狙われそうだけど」


「何かするよりも何もしない方がいいんじゃ無いか?下手に失敗してもまずいし」


 俺たちが行動しても安藤先輩の手で邪魔をされる可能性が高い。

 それなら何もせず仕事をこなしている方が安全だろうと考えた。


「そうだね。とりあえずは様子見だね」


 曖昧ではあるが方向性を見据えた矢先、激しい音と共に生徒会室のドアが勢いよく開いた。


 ドアの向こうには、髪は乱れ汗をかき犬の呼吸の様に素早くはぁはぁと息を切らした金井がいた。


「た、大変げす!!」


 ……大変なのは金井の容姿と滑舌だな。人と話すときは落ち着いて話しましょう。


 金井に案内されて俺たちが向かったのは1年生の教室の前にある掲示板。


「な、なんだこれ」


 そこには俺たちが入学当初に行った定期テストの点数が大々的に張り出されていた。


 俺はそこそこ良い点数を取れるので問題ないが、順位を上から下の方へ目をやると一番下には生徒会メンバーの名前があった。


 北村だ。安藤先輩め、なんて姑息な真似を。生徒会メンバーは成績が優秀な者が選ばれるイメージはどこの学校にもあるだろう。

 そんな生徒会メンバーに学年順位最下位のメンバーがいればイメージダウンは避けられない。


 手分けして北村を探す。校舎や体育館、校庭を探したが北村の姿は見つからない。一縷の望みを持ち最後に中庭を探すといつもと変わらず冷静な顔を下に向け、肘を膝の上につき考え込む北村がいた。


「こんなところにいたのか」


「……見ただろ?俺の点数」


「ああ。ありゃひどい点数だ」


「笑いたきゃ笑え。勉強してもあんな点数しか取れないんだよ。教えてくれる奴もいないし」


 北村は顔が怖い。目付きが悪すぎて誰も近寄らなさそうだがこいつが生徒会メンバーになった一因として女性人気の高さが挙げられる。この顔が好きな女子は意外と多いらしく、女子からの投票が多かったと聞いている。


「勉強する気はないのか?」


「無いわけ無いだろう。今までも人一倍勉強はしてきた。それでもこの有り様なんだよ……」


 誰か北村に勉強を教えられる奴はいないだろうか。相原は勉強苦手だし高瀬は勉強に関しては頼りにならないし……。

 俺が教えるしかないな。これも裏方活動だ。生徒会長に今の生徒会を好きにされてしまっては相原に悪影響を及ぼす。それを阻止するための裏方活動。


 いっちょやったりますか。


世の中どこにでも嫌な人っているよね。

ガンバロー

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