第3話 生徒会発足
イケメンは性格悪い(偏見
授業終了のチャイムが鳴る。今日は放課後に生徒会発足後初の活動がある。活動とは言っても今日は生徒会メンバーの初顔合わせといった内容だ。
生徒会のメンバーは全員で6人。生徒会長1人、副会長1人、書記2人、会計2人と言う内訳になっている。
うちの学校には全生徒会長が次期生徒会の補佐として会計に就任するという決まりがある。
俺としてはその前生徒会長が問題だ。
成績優秀、運動神経抜群の文武両道イケメンときた。相原がそいつに引っかからないか心配になる。
まあ彼女でもなんでもないんだけどさ。
「探したよよしみん。どこにいたの?」
「ちょっくらトイレに行ってた。すまん」
トイレに行ってた、は嘘である。俺は授業終了後トイレに行くふりをしてダッシュで生徒会室に向かい、相原が座る生徒会長の席を掃除していた。
なんか掃除ばっかしてんな。トイレ掃除もさせられるみたいだし。
「それじゃあ生徒会室に向かいますか!!」
「おけー」
俺と相原と高瀬の3人で生徒会室に向かう。教室を出たとき、運が悪く前生徒会長と遭遇した。
「おや、新生徒会長の相原さんじゃないか」
こいつ、3人で歩いている俺たちに対して、相原にだけ声をかけている。身長は高く髪は金髪で確かにイケメンだ。しかし、俺はこいつが気に入らない。
「こ、こんにちわ」
「今から生徒会室に向かうんだろ?案内してあげるよ」
そういうと前生徒会長は俺たちに勝手についてきた。
「おい、おい高瀬!」
小声で話しかける。
「どったのよしみん?」
「生徒会長ってなんて名前だった?」
「安藤さんだよ!安藤諒さん!そんなことも知らないの!?」
「ああ安藤なー安藤。安藤だろ。知ってた知ってた。ははっ、はははっ」
安藤って言うのか……。初めて知った。
今こうして歩いている間も安藤先輩は相原の隣を陣取り、俺と高瀬は後ろでは二人歩いている。
「さあ、ここが生徒会室だよ」
そう言って安藤先輩が自慢げに扉を開ける。
埃まみれだった生徒会長の椅子も机も俺がある程度掃除したおかげでピカピカだ。
時間が足りず生徒会室全部を掃除するまでには至らなかった相原の座る生徒会長席の周りだけでも綺麗に出来てよかった。
「僕は綺麗好きでね。身の回りの掃除は欠かさないんだ」
「へぇすごいですね!!さすが生徒会長です」
いや待て、ここを掃除したのは俺だ。しかもついさっき。埃にまみれていたこの生徒会長の席を掃除したのは俺だぞ!?
自分は掃除なんて全くしてないくせによくもまあ自分がやりましたと大きな声で言えたもんだ。とんだクズ野郎だな。
しかも、相原はキラキラした目でまんまと騙されてるし。まあ俺は相原が喜んでるならいいと思ってるからな。自分の手柄だと言い張る必要もない。
「生徒会メンバーには気持ちよく仕事をしてもらいたいからね。当然の配慮さ」
「よしみん、なんかあいついけすかないね」
「おお、高瀬もそう思うか。俺も全くの同意見だ」
高瀬も安藤がいけすかないようだ。高瀬は能天気に見えて意外と周りを見てるし敏感なんだな。
そうこうしているうちに、残りの二人も生徒会室にやってきた。
書記の北村風希と会計の金井美月だ。北村と金井は俺たちと同じ1年生。この生徒会メンバーは創立以来初めて生徒会長以外のメンバーが全員1年生なのである。
「書記の北村です。よろしく」
こんな奴同学年にいたか?中々クールな奴だ。
「か、か、かか、金井み、美月です。や、や、ゆやよろしくお願いしにゃす!?」
噛んだな。盛大に噛んだ。体を震わせ今にも涙を流しそうだ。なんでこんな奴が生徒会に、と思ったがこいつは教師推薦で生徒会に入ったらしい。
教師、頭おかしいのか。でも、幼児体型のこいつは俺的にアリな感じなのでおけ。むしろありがとう先生。
全員が集まったところで前生徒会長が相原との会話を終え、席に着き話し始めた。
「よーし。メンバーも全員集まったことだし、始めるか。本当の生徒会選挙を」
……は?
遅くとも一週間以内には次話登校します‼︎