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第25話 林間学校11

おはようございます。寝坊して会社に遅刻しそうになりました。

今回もよろしくお願いします!

「た、高瀬!?大丈夫か?」

「イタタ……。後で腫れてくるかな。まあ大丈夫」


 痛そうに額を抑える高瀬を見て申し訳ない気持ちになったものの回避しようのない事故に、どうすればいいんだよ、という思いもあった。


「なんで高瀬が俺の家に?」

「よしみん、林間学校で2日目の朝まで寝てたじゃん?宿からお土産貰ってたんだけど、よしみんいなかったから私が預かってて。それを渡しに来たってわけ」


 ただの宿泊客にお土産だなんて良心的な宿だな。お土産は嬉しいがそれにしてもタイミングが悪い。

 俺は今から相原の家に行かなければならない。しかもその事実を高瀬にバレてはいけない。


 高瀬を仲間外れにしているような気がして、相原の家に行くという事実を言わないというのも心が痛む。


しかし、今世紀最大と言っても過言ではないチャンスを前にしてそんな事を考えている余裕はない。


「あれ、今日のよしみんの服装まともじゃない?どこかに出かけるの?」

「俺の服装って毎回そんなに変なのか……」

「うん。変。それで、何か用事でもあるの?」

「ない。何もない」

「……ほんと?」

「本当だ」


 身長の低い高瀬は俺の懐に入り込み俺を見上げる。このままなんとかやり過ごしたいところだが……。


「そっか。それならいいけど」

「ああ。わざわざ家までありがとな」

「全然大丈夫。あいちゃんによろしくね」

「おう。よろしく言っとくよ……てなんで!?」

「やっぱり。あいちゃんの家行くんでしょ?」

「な、何故それを!?」


 相原からは俺が今日相原の家に行くことは秘密にしてくれとお願いされている。無論、俺も高瀬にはその事実を伝えていない。


 それなのに、何故高瀬はこの事を知ってるんだ?


「あいちゃんから聞いたって訳じゃないよ。二人の反応見てたらなんとなくそうかなって」

「……ドユコト!?リカイフノウ!」

「カタコトになっても無駄だよ。君は完全に包囲されている!もう逃げられない!」


 追い込まれた俺の頭は少しおかしくなった。いつもおかしいとかそんなツッコミ聞こえない。


くっ。ここまでか、と苦い顔をした後で全てを話した。


「じゃあ私もあいちゃんの家行くよ」

「え、高瀬も!?いや、でも相原には高瀬に言うなって言われてる訳だし……」

「よしみんは何も言ってないじゃん。私が気づいただけだから大丈夫」

「んーそうか……?」


 少し悩んだ結果、高瀬と一緒に相原の家に向かうことになった。

 相原と二人きりだと思っていただけに残念ではあるが二人きりよりは緊張しない。


 激しくなる心臓の鼓動を抑え歩く。相原の家は近所で歩き出してすぐに到着した。


 到着したはいいがインターホンを鳴らすのを躊躇している。懸命に押そうとする動作と、インターホンから指を遠ざける動作を延々と繰り返しいつまでたってもインターホンを押せない。


「えいっ」

「あ、何やってんだお前!」


 高瀬は俺の手を掴み無理やりインターホンを押させた。


「だってあのままだと一生インターホン押せないよ」

「一生てことはねぇだろ。1日とか1週間とかならあるかもだけど」


 ふっと苦笑いする高瀬をみて自分の不甲斐なさに少しイラっとした。


 インターホンを鳴らしたからには相原がドアを開けて出てくる。


「美伊那!?どうして美伊那がいるの!?」

「あ、あの、これはだな」


 私服姿で出てきた相原の可愛さと、どう弁明しようかという焦りから言葉が上手く出ない。


「渡し損ねた宿のお土産をよしみんに渡しに来たらたまたま家を出るところでさ。無理やり付いてきちゃった」

「そ、そうなの?とりあえず上がってもらおうかしら」


 ドアを開けたら高瀬がいるというまさかの状況に相原も困惑している様子。俺も困惑はしているが、ついに久々の相原宅に足を踏み入れた。


 ドアを開けた瞬間から香る甘く爽やかな花のような香り。男友達の家に遊びに行っても絶対にしない香りだ。


 この家で相原は生活し、ご飯を食べ、息をしている。


 そんな空間に入り込んだと考えると急に変な汗が出てきた。


 手汗をこっそりとジーンズで拭き、綺麗に靴を揃え相原の家に上がった。


「今日は親が帰ってくるの遅いみたいだから気楽に過ごしてて」

「お!ありがとね〜。それじゃああいちゃんの部屋にいるね」


 高瀬は慣れたように玄関を入ってすぐのところにある階段を上っていった。

 頻繁に相原の家に遊びにきているのか。


 ていうか今日は親が帰ってくるのが遅いって?高瀬がいなかったら俺と高相原はこの家に本当に2人きりだったってことか!?


 そんな事を考えている場合ではない。相原に謝らなくては。


「ごめん相原。まさか高瀬と鉢合うとは思ってなくて……」

「仕方ないわよ。みんなで遊んだ方が楽しくて良いんじゃない?ほら、あんたも先に部屋に行ってて」


 俺も高瀬の後を追い相原の部屋に向かう。相原の部屋の扉には平仮名でよしのと書かれた札がかけられておりすぐにここが相原の部屋だと分かった。


 扉を開けるとすでに高瀬がカーペットに寝転がりくつろいでいた。


「よしみん。ここがあいちゃんの部屋だよ。あんたの好きなあいちゃんの部屋なのだよ」

「あ、改まっていうなよ。恥ずかしい」


 そわそわしてどこに座れば良いか分からない。何気なく置いてあったベットに一度は座ったが、相原がいつも寝ているベットに座るなんてダメだろ。


 ベットに他人が座ったり寝転んだりするのを嫌がる人もいる。そう考え、俺もカーペットの上に座った。


「よしみんはさーやっぱりあいちゃんが好きなの?」

「当たり前だろ。好きすぎて裏方やるくらい好きなんだぞ」

「ははっ。そうだよね」

「それがどうかしたか?」

「特に意味はないよ」


 急に変な質問をしてくる高瀬に疑問を持ったが、その後すぐ相原が部屋に戻ってきた。


 部屋に入ってきた相原は黄色い花が多く描かれたエプロン姿だった。


 相原は桜の様な薄いピンク色が似合うと思っていたが、黄色もとても似合う。


「林間学校で吉見にはすごく迷惑をかけたから私なりにお詫びを考えたんだけど……」

「え、それってもしかして」


 エプロンをしている相原の姿からお詫びが何なのかすぐに見当がついた。


「ご飯をご馳走しようと思って……」


 え、相原の手料理!?俺、最近幸せすぎん?

ご覧いただきありがとうございます!

平行しながら別の作品も製作途中です。

いつになるかは分かりませんがそちらも楽しんでいただける様、楽しんで考えます(・∀・)

次回は本日18時ごろに投稿予定です。

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