第12話 謝罪
今回もよろしくお願いします。
今の状況を整理しよう。相原が俺の部屋にいて、良い匂いがしていて、めちゃくちゃ可愛くて俺に謝罪をしてきたという状況だ。
なぜ謝罪をしてきたのかという大事な部分を焦りで理解していない事よりも、相原を硬い床に正座させている事が無性に気になった。
せっかく自分の部屋に来てくれた想い人をもてなすどころか硬い床に正座させている。アホか俺は。
ベットの上にあったクッションを見つけると
「そんなことよりこれ使ってくれよ」
「あ、ありがと」
相原は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしているがそれもまた可愛い。相原と話すのは1週間ぶりということもありいつもより気持ちが昂ぶっている。
今になって少しずつ気持ちが落ち着き、冷静に考えれば俺を鞄泥棒だと思い込んでいた事に対する謝罪なのだろう。それを言いにわざわざ俺の家まで来てくれたのか……。
「謝ることないよ。俺が昇降口で相原の鞄を持っている姿を見たら誰だって盗んだとしか思わないじゃないか」
「違うの!!」
俺の発言に対して相原が大きな声を上げた。
「確かに普通の人が見ればそう思うわ。でも私なら、小学生の頃からずっと一緒にいるあんたの事は信じられたはずなのに」
「気にすんなって。今こうして小学生ぶりに相原が俺の家に来てくれてるんだ。そんなに嬉しい事はない」
「それってどういう……」
「あーいや、なんでもない。忘れてくれ」
危ねー。いつのまにか俺の相原に対する好意が溢れ出していた。俺の相原に対する好意は気付かれてはならないのだから。久々の会話で気が緩んでいた。
「それに、美伊那はあんたの事ずっと信じてたわ。それなのに私……私……」
突然相原が涙を流し始めた。あまりに唐突な出来事にどうすることもできない。抱きついて慰められるような立場なら良かったのに……。
どうすることも出来ず。おれは咄嗟にベッドに置いてあったもう一つのクッションを手に取り相原の顔面に押し付けた。
「ひょ、ひょっとなにふるのよ!」
クッション越しに相原の声が聞こえてくる。
「なんでもねぇよ。相原の顔にはクッションが似合うと思って」
「どーゆーほとはほよほれ」
そういうと相原は少し笑ったような気がした。
顔面に押し付けたクッションを相原が両手で持ち、少しずつ下げ相原の頭と目だけが見える。
クッションの上に見える相原の目は赤くなり泣いていたことが容易に分かる。
「本当にごめんなさい。そのお詫びと言ってはなんだけど今度ご飯でもご馳走するわ」
「お、ありがとな……。は!?」
「な、何よ。悪い?」
「悪い訳ないだろう。お言葉に甘えてご馳走になるよ」
そして次の休日、俺は相原とご飯に行くことになった。苦難を乗り越えたご褒美を神様が与えてくれたってところか。ありがとう神様。
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