不気味な唸り声
小屋に辿り着いた時にはもう日が沈んで辺りは暗闇につつまれていた。
この街に初めて辿り着いてウォーカー達の観察をし続けてきたが、彼らは鉱山とこの街中を行ったり来たりしている。何でそんな行動しかしないのかは不明だが、この小屋へ近づいた形跡は全くないのだ。
匂いに敏感だと気づいたのはゴルゴンが持っていた食料の入った蓋を開けた時だ。
奴らは雄叫びを上げてゴルゴンに飛びかかったが、ゴルゴンは押し倒されはしたが、匂いの無い彼は傷一つ追うことなく食料だけ奪われただけですんだ。その時に一緒にいたスラミンも襲われる事なく無事だった。
スラミンは無臭だからだ。
周囲が暗くなってスラミンは小屋の外で周囲を警戒している。
もし、奴らの一体が逸れてこの丘へ登ってきたら危険だからだ。
奴らは匂いに敏感なのだ。エリックは小屋に身を潜めているけど、鼻が利く彼らは怪しい場所を見つけたら雄叫びを上げて迫ってくるからだ。
エリックは街で食料を調達してきた。
その全てが保存食ばかりだがエリックにとっては、ここはご馳走にありつける最高の場所だ。
ただ、ここもそう長居はしてられない。いづれ食料が尽きてしまうし、母の行方を探さなければならないからだ。
小瓶の中身は燻製した鶏肉が入っている。痛みやすいものから食べることにした。
「それって、さっきの鶏と同じ種類の鳥かな?」スラミンが窓越しから話しかけてきた。
「さあな、それよりもゴルゴンが戻って来ないのが心配だ、夕方までには戻ると言ってたのに」
「そうだね、明日の早朝から森に散策しよう」とスラミンが話てると、丘の下にある廃墟と化した街で不気味な叫び声が聞こえはじめてきた。
奴らが来た、、、
スラミンは街を見下ろせるところまで移動すると、無数のウォーカーの群れが街中に溢れている。
屋根に登ってたり、塀の上によじ登ろうとしたり、あるいは仲間どうしで噛みつきあったりして敵対する人間の面影を感じることはできなかった。
それにしてもおかしい、ここへ訪れた時よりも増えているような気がする。
スラミンはその様子を観察していた。
スラミンは無臭だからウォーカーには全く興味が無いのだ。
もし、彼らにとって美味しい匂いを発していたらどうなるのか、、、スラミンは体中を震わせた。
再び周囲を見渡すも近くにウォーカーの気配は無いし、とりあえず小屋まで戻ることにした。
窓を覗き込むとエリックは眠っていた。魔王の力を使うと体力の消耗が激しいし、持続時間も30秒と持たないのだ。
エリックは、なるべくこの力を開放することなく、いつ何が起こるか分からない全く予測不可能な調査を続けていくしかないのだ。