33話 小さな暗躍
あけましておめでとうございます!
地獄は灼熱の大地に支配されている。
どこへ行こうともその熱から逃げることは許されず、心休まる場所などありはしない。
しかしそんな地獄でも唯一暑くない自然の場所がある。
大寒獄。
山々に囲まれた広大な土地であるその場所は、辺り一面を白銀の雪に支配されている。
そう、この地獄において熱から逃れられる唯一の場所は、逆に肌を刺すような冷気が襲い来る別の地獄だった。
ただいつもと違う苦痛が、体を苛むだけ。
だがそれも当たり前のこと。
我々囚人に安寧などあってはならない。
囚人に許されるは贖罪のみ。
世界とはそうあるべきなのだ。
しかし他の囚人たちはそれを認めようとしない。
悪魔の囁きに惑わされ、己の罪に背を向ける。
彼らは罰を拒んだ。
それは許されざること。
ゆえに正さなければならない。
ならば俺のすべきこととはなんだろうか?
彼らを説得するのか?
不可能だ、もはや囚人たちは自由への渇望に目がくらんでいる。
今更それを言葉で止めることなどできはしない。
そもそもの話、俺の考え方が異色なのは自分でも理解している。
別にこんな状況じゃなくても話を聞いてもらえないのは確実だ。
ならば力ずくで止めるか?
当然無理である。
俺にそんな力はない。
結局のところ、事態がここまで進んでしまった以上、俺にできることなど何もなかった。
だがだからといってこの状況をひっくり返せるだけの何か、そんなあるかもわからない希望をただ待ち続けているだけでいいのだろうか。
あの悪魔は狡猾だ。
入念な準備の下、この騒動を巻き起こした奴を出し抜くには並大抵の策略ではダメなのだ。
少なくとも奴の計画を看破し、その裏を突くぐらいしなければ話にならないだろう。
だがこの世界にそんな不可能を可能にできる奴がいるとは思えないし、いたところでこの事態を止める動機があるやつかもわからない。
そんな期待は持つだけ無駄である。
それでも俺はその可能性に頼るしかない。
たとえこの信念が独りよがりのものだったとしても、ここで諦めるわけにはいかないのだから。
罪には罰を。
さあ、暗躍を始めよう。
今年もよろしくお願いいたします!




