あの日から。
初投稿させていただきます。ヨルノオトです!ヨルノートみたいな、デスノートみたいな発音だと思ってくれたら良いかと!
小説自体書くのは初めてで、もっとここをこうしたらいいとかそんなことを教えてくれる方がいたら嬉しいです。ということで、初作品お願いします。
「ひろとー、俺、再婚しようと思うんだ。」
父が今までにないほど真剣な顔で言う。
食事の前から父が何か僕に告げようとしているのには気づいていた。
「......う、ん?そっか。それはいいと思う。」
少し間をおいて、僕はテキトーな返事でその場をしのいだ。
父も半分安心したような半分不安そうな顔で頷いて、静かに手を合わせてごちそうさま。とひとこと。また部屋に戻ってデスクに向かっている。
僕が小学校に上がる頃に母が病気で亡くなってから9年間。男手ひとつで僕のことを育て上げてくれた父はそろそろ自分の幸せを考えてもいいと思う。
実際のところ僕は心から父の再婚には賛成している。きっと再婚相手の女性というのも母の高校からの友人の浩子さんという人のことだろう。
浩子さんは父の話を聞く限りとてもいい人だ。父が慕っているのがとてもわかりやすかった。
―ただ。とても驚いた、というのも本当のこと。
父は母のことをとても愛していた。亡くなってから9年経つ今まで毎日欠かさずに、母の写真に声をかけているところを見ている僕は確信を持ってそう言える。
そんな父が母以外の女性と結婚するとは、思いもよらなかった。なんとなく不思議な気持ちになりながら僕は眠りに落ちた。
その日の夜僕は夢を見た。暖かい光の中で女性に頭を撫でられる幼い僕と、隣には見たことのない女の子。知らないはずのその子はなんとなく懐かしいような笑顔を僕に向ける、その懐かしく心地いい空間に僕はいつまでもいたいと思う。ふと、男性の声が聞こえる。
「 ーたぞ!!」
聞き覚えのある声だな。
「ご飯できたぞ!!おきろひろと!」
「うわ!びっくりした、なんだお父さんか。」
「なーに気持ち良さそうな顔でいつまでも寝てんだ?」
ん?いつまでも??充電してあったスマホを手に取る。電源ボタンを押すと<充電完了>と<8:15>の表示。
「やばい!遅れる...!」
急いで顔を洗って制服に着替えながら父の作った朝食を口にかきこむ。
「そうだひろとー、今日籍を入れようと思うんだ。相手はもうわかってると思うけど浩子さんな。」
「まじ?いつから決まってたの?」
「ずっと前から決まってたことなんだけどなかなか言い出せなくてなー。結局こんな慌ただしい形になってすまん。」
「うんー、まあ正直驚いたけど浩子さんなら僕は賛成だな。」
「ビーーー!ビーーーー!」8時25分のアラームがなる。
「ごめんお父さん、詳しい話は帰ってきてから!行ってきます!!」
「あ、ちょっと待て!今日な...」
「わるい!大事な話ならあとでメールでもしといてくれ!」
僕はこけそうになりながら玄関から飛び出した。靴を履きながら自転車にまたがると後ろから僕を呼ぶ声がした。
「ひーろとっ。まーた遅刻しそうになってんの?学ばないなー君は。」
そういって僕のことをバカにしてくる彼女は気づくとちゃっかり僕の自転車の後ろにまたがっている。
「俺が遅刻しそうになってんのはお前というおもりを自転車つけて登校してるからだとは思わないのか?」
「うわ、ひっどい。私のことおもりだなんて。遅刻しそうだからって私に当たるなんて良くないぞー?」
「お前、自分も遅刻しそうだってこと忘れてないか?」
「あ、ほんとじゃん。レッツゴーひろと!はやくはやく!」
「あーもう!」
結局僕は彼女を乗せることを許し、そして力一杯ゆるい坂道を漕ぎ上がっている。
彼女は僕の友人、というか幼馴染で名前は咲良。僕の母と彼女の母が仲良く、幼稚園から一緒の僕と彼女はいわゆる「腐れ縁」というやつだ。咲良が小さい頃に両親は離婚していて、シングルマザーの家庭で育っている。おまけに誕生日まで1日違いなんてもはや運命だと思う。
彼女はクラス委員長で誰にでも慕われるような子で、その長い髪の毛は茶色く、目の色は薄い。顔立ちも整っていてはっきりいってモテる。
僕はその反対、というわけでもないが、別に好かれるタイプじゃない。だが僕だって別にモテないわけじゃない。友人に言わせてみれば顔立ちは悪くないが、根が暗そうなんだと。たまに僕のことをあまり知らない人が告白をしてきたりするのだが、ことごとく断っているうちに性格まで悪いと言われ始めた。
「ガタン!!」
扉を勢いよく開けて、僕と咲良は左後ろの席に順に座る。そう。席まで隣なのだ。入学して間もないため座席は出席番号順なのだが、僕、1年B組7番大野寛人と彼女、1年B組14番古柳咲良はちょうど隣になってしまった。
「お前またギリギリかよー。しかも女の子と一緒に登校とか、ふざけんなよ!お前俺と代われ!」
俺の前の席のこいつは上野大知。こいつとは中学の時に出会った。見ての通りこいつはチャラけたやつで、頭も悪...くない。頭が非常に良く、スポーツも大抵のことはこなすこいつは人当たりも良いため友達が多い。
「あー?お前な、こんなおもりつけて登校したいとかどんなけ意識高いの?そんなに筋トレしたいならジムにでも通え。」
「ちげーよ!女の子と登校とか憧れじゃん?しかも古柳さん可愛いからいいなってさ?」
「お前そんなこと言ってるとまた千秋に...」
「だぁいぃちぃ?そんなに女の子と登校したいならうちと一緒に朝練行こっかぁ?」
彼女は森下鈴音。大知とは親がらみの仲で、きっと彼女は大知のことが好きなんだと思う。
「ひぃっ、ご、ごめん俺朝1人で登校するのが好きなんだっ?うん!な?ひろとっ?」
「あ、うーん、でも最近朝練行こうかなとか言ってなかったっけー?」
ここはあえて大知をいじって遊んでやろうと思う。
「そうだった!だいちゃんすーちゃんと朝練行きたいって言ってたよ?」
咲良もしっかり乗ってくれる。
「おっおい!」
「ほー?じゃあ明日は6時に家の前行くから。起きてなかったら放課後グラウンド10周!!」
大知と鈴音はそれぞれ男子バスケ部と女子バスケ部に所属している。2人ともキャプテンだが千秋の方がやる気に満ちていて、大知は完全にプレーだけのキャプテン。
「おい、寛人ー、咲良ー、ひでーよそれはーー。」
「いいじゃん、鈴音と登校するのもお前の憧れてた女の子と登校するシチュエーションだぞ?」
「ちーちゃんも嬉しそうだったじゃん!」
「んーそうかなぁ。あーもう!2人ともジュース奢りな!」
「はいはい、気が向いたらなー」
「はーい、また今度ねー」
鈴音は背は高く、頼られやすいタイプ。彼女のそういうところに惹かれてファンクラブのようなものまでできている。そんな鈴音を受け入れてやらない大知は大罪人だと僕は思う。きっと咲良もそう思ってる。
そうこうしているうちに朝礼が終わって、1時間目のチャイムがなった。そういえばお父さんからメールがきてたみたいだけど見れてない。
4時間目が終わってお昼休みになると何やらクラスのみんなが盛り上がっていた。
「おい!みたかあれ?」
「みたみた。結構やばくない?近いし。」
「怖いよなー。」
なんて言葉が飛び交っている。何が起こったのだろうか?と思っていると大知が食堂から走って帰ってきた。
「おっおい!寛人、咲良、見たか?あれ!」
「なんだ?あれってなんだよ。みんなが言ってるやつか?」
「そうだよ!駅前のデパートで爆発事故だってよ?」
「え...?駅前って...」
咲良が何やら不安そうな表情を浮かべる。
「どうした?」
「ううん、なんでもないの」
「ふーん?にしても怖いな結構近いし。誰か知り合いでも巻き込まれてたら。」
「まあでも今の所、死者0人だってよ!怪我人はいるみたいだけど。てことで、ジュース奢れ!」
「うわっ、覚えてたのかよ。咲良ー、今金ないから...あれ咲良どこいった?」
「おい!絶対明日には奢ってもらうからな!」
「あーはいはいわかったわかった。」
「そういや鈴音は?」
「あーあいつは、ご飯ちょっと食べてすぐ練習しに行ったー。大会が近いんだと。」
「お前も少しは見習えよ。」
そう言って僕は席を立ち、咲良を探していると咲良は職員室の前にいた。
「先生!お願いです、早退させてください!」
「体調が悪いのか?そうは見えないが。」
「そうじゃないんですけど...」
「おーい咲良!どうしたんだ?」
「あ、ひろと、実は...」
咲良によると咲良の母が今日の朝、駅前のデパートに出かけると言っていたらしい。
「でも死者数0って言ってたろ?大丈夫だろ。そんな気にするなって。」
「でもお母さんと連絡がつかないの。心配なの。」
「んー。」
「先生、古柳さん本当に体調悪いんじゃないですか?普段真面目な古柳さんが嘘つくとは思えないし。」
「んー、それもそうだな...仕方ない。なら古柳、早退届をちゃんと出して帰るんだぞ?一人で大丈夫か?」
「はい先生、すいませんありがとうございます!」
「ありがと、ひろと」
廊下を曲がったところで彼女が小さな声で僕の耳元でそう囁いた。僕は一瞬びっくりして、少し照れてしまった。
「お、おう!ジュース奢りな!」
「うん!ありがとね!」
そう言いながら彼女は走って行ってしまった。僕は感情が顔に出ないタイプだと思っている。だがよく咲良には何を考えているか見抜かれてしまう。さっきの咲良にはバレてないと思うけど。
そういえば、お父さんからのメールを確認してなかった。なんだったんだろ?朝言おうとしてたのは。
そう思うながらメールを開く。
題名なし
本文:今日な、古柳さんと出かけるから学校帰り迎えに行くよ。学校終わったら咲良ちゃんと一緒においで。
古柳さんというのは咲良のお母さんのことだろう。待てよ、ということはお父さんも駅前のデパートに?
すぐに返信を送る。
「駅前のデパートに行った?事故があったみたいだけど大丈夫?すぐに返信して。」
そう送信してから放課後まで返信はなかった。そして放課後どうしようかと思っているときにケータイが鳴った。すぐに手に取ると、咲良からの電話だった。
「咲良か?お母さんとは会えたか?実は俺のお父さんが...『...ねぇひろと...私どうしたらいいの?お母さんが...』
何言ってんだ?今どこにいる?すぐ行く!」
咲良は総合病院にいると言うので、すぐに向かった。向かう途中咲良の言葉が何度も頭の中で再生される。まさか。まさかそんなことはない。そう信じながらも焦りと不安で心臓の音がどんどん大きくなる。病院に着くと、爆発事故の被害者だろうか、人で溢れていた。受付の横のソファーに咲良はいた。咲良は泣いている。なんで泣いてる?嫌な妄想が僕の頭をよぎったが今はそれを押し殺して咲良のところまで行って声をかける。
「お、おい!!咲良どうした??大丈夫か?何があった?」
「お母さんが...お母さんが。」
「なんだ?」
「死んじゃった...」
そういって咲良はより一層泣き崩れた。咲良の座っていたソファーの隣の部屋には誰かの遺体が置かれている。僕は状況が全く飲み込めず立ち尽くしてしまった。だがすぐにお父さんが一緒にいたのではないか?という疑問に抱かれた。
「咲良。俺のお父さんも一緒にいたみたいなんだけど、知らないか?今日咲良のお母さんとデパートに行くって。」
「え...?寛人のお父さん...?」
咲良も知らなかったようだ。
「まさか。お母さんと一緒に事故に巻き込まれた男性がいるってまさかそんなはず無いよね?だって、」
そこまで聞いて僕は近くの医者のところまで全力で走っていった。
「す、すいません...!僕のお父さんが入院してるかもしれないんですけど...爆発事故で...あの...一緒にいた女性は亡くなって...あの」
「落ち着いてください。お名前は?一緒にいた亡くなった女性の名前もできれば教えてください」
「あ、僕の父は大野健、一緒にいた女性は古柳裕子さんです。」
「古柳裕子さん...」
そこまで言って医者は何か思い出したような表情をした後すごく真面目な表情を浮かべた。
「君の名前は?」
「僕は大野寛人です。」
「寛人君。ついておいで。」
医者に連れられて僕は病院のエレベーターを上がり、廊下を進むとそこには<集中治療室>の文字が。
「父がここに?」
「寛人君。落ち着いて聞いて欲しい。君のお父さんはもう長くはない。君のお父さんはひどく君に会いたがっているよ。中に入ってくれ。」
自動ドアが開く音がした後、僕はアルコール消毒などを行ってお父さんのいる部屋に入っていった。
「お父さん...」
お父さんんはこちらに少し首を傾けたが、全身包帯だらけで固定されている体に自由は無いようだ。
「ひろ...と。学校は...どうだった...?」
「いつも通り楽しかったよ。そうだ、明日は弁当にウインナー入れてくれよ。今日は入ってなかったろ?そのかわり朝飯は俺に任せて。」
「そう...だな。明日は...夜うまいもんでも...食べに行くか...それで...俺たちの将来に...ついて...話そう...」
この俺たちというのは、再婚した父と浩子さんと僕のことだろう。
「食べに行こう!わざわざ考えることもないよ。いつも通りさ、いつも通り。今まで通りのんびりとさ。」
そこまで言ったところで僕の目から涙が止まらなくなってしまった。まるで栓を外したみたいに。いつまでも泣く僕に父はいろいろ話昔のをしてくれる。その話はなんだか心地よくて、すごく安心して僕はそのまま眠りに落ちてしまった。
あぁ。ここはまたあの光の中だ。大人の女性と女の子と僕の3人。あの女性は誰なんだろう?女の子は誰なんだろう?でもそんなことはどうでもいいからここにいたい。心地いい世界だ。
「ピーーーーーーーーー」
機械音が聞こえた。すると部屋に数人の医者が入ってきた。必死に心臓マッサージなどをしている光景がぼやけて見える。僕はただただ叫んでいた。お父さん、お父さん。
お父さんんが、亡くなった。あれだけ止まらなかった涙も次は栓をしたように全く出なくなった。
僕は医者に今日は帰りなさいと言われ、エレベーターに乗った。時間を見て気づいたがもう0時を回っていた。僕はただただ昔のことを思い出していた。母が亡くなった時、父は泣いた。僕も泣いた。僕は幼いながらに父は泣いているが、強いと思った。ただ悲しくて泣く僕に父は肩車をしてくれた。父はその時から前を見て歩み始めていた。
受付に戻るとそこには咲良がいた。ずっと泣いていたのだろう、目の周りは腫れて疲れきっている。僕はそんな彼女を見て、今は俺が咲良を肩車する番だと思った。もちろん文字通りの意味じゃ無いけど。
「咲良、帰ろう。」
「うん...」
書いてみて思ったことなのですが、私が想像していた以上に難しい。というか難しいとか言えるレベルで書けてませんね。もっと勉強しなければ。やはりコメントなどお待ちしております。