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スタジアム
惑星の中央に美しい平野。鋼鉄フレームの巨大な装飾品、円形のドーム球場は聳え立つ。祖先がプロ野球を行なった唯一の聖地、今や唯一の歴史発掘の手立てで。
当時アマを含め全ての野球に観客の入場は禁忌とて許されなくて。フェンス奥の観客席には果てしなく深淵が地の底へ続くばかり、今なお同じで。
かつてのピッチャーマウンドには巨大な球体が浮かぶ、直径二十五Mもの。青白の閃光無数に蠕動する悍しいビジュアルで。
今球場埋めつくす客は皆グラウンド、二十五分間の閲覧のためで。数時間待ちのアトラクション、幾筋もの行列で並ぶ客は感電により、当時隠蔽された歴史を掠めとらんとイメージの共鳴を得、それは禁忌を犯す言い状のない歓びで。