2/12
遠くへ
電車は私を連れ去ってくれる。
遠く遠く遠く。私の吸ったことのない空気が私を満たし、知らない風が私を包んでくれる。
私は、私と同胞たちは瓶詰めだった。決して空くことのない瓶の中で、自由は奪われていたのだ。いったい私の瓶にはどんなラベルが貼られていたのだろうか。いったいなんという種類の薬品に私は漬かっていたのだろうか。
次はどんなところに行くのだろうか。私の知らない何が待っていてくれるのだろうか。電車に乗りながら私は考えている。瓶の外の世界を。新鮮な空気を。あぁ、心地よい。
瓶詰めされていた私は、何度も外に出ようと試みた。しかしその蓋が開くことはなかった。別の空気が入ってくることはなかった。
終いに私は腐ってしまった。
読んでくださってありがとうございます。お気軽に感想、ダメ出ししていただけると嬉しいです。