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永遠の魔法と異世界修繕  作者: 猫蜜柑
3/20

2話 「冥界の息吹」

5/5 修正しました。


1時間程度の狩りを終えた俺は、大きな岩の上に座り休憩することにした。


少し前から雨が降り出した。雨音も徐々に強くなっている。


「雨も降ってきたしそろそろ帰るかな」俺は帰還する身支度を始めた。




「こんなときリリアの魔法があればいいのに…」


異世界転移したのに魔法も使えない俺が情けない… 小説の主人公の順応性にツッコミたくなる。


魔法が使えれば格段に生活や戦闘が楽になるだろう。 さっきまでの戦闘では魔法が無く危ない場面もあった。


まぁ剣だけでそこらのモンスター相手なら戦えるからその日暮らしくらいできるだろう。




しかしさっきから何か引っかかる。 妙な空気がする と表現することしかできない何かがある。


「湿気のせいか?」空を見ようと振り向いて上を見上げるとそこには巨大な禍々しいオーラを纏った騎士が居た。






―――――――――――――――――――


南門 


「北門に冥騎士!?本当なの!?」リリアは困惑した様子で兵士に尋ねた。



「はっ はい! 確かに冥の門を観測したと塔から連絡が!」兵士も何が起きているか分かっていない様子だ。




「分かった。10分あれば南へ行ける。それまで持たせるよう連絡を」「分かりました!」


彼女は命令と同時に詠唱を始めた。


「リリア・ミストシルフが命ず!見る者全てに幻想と滅亡を 世界に霧と混乱を 今開かれる風の門」


「幻界せよ、風神鳥 ミストシルフ!」 彼女の詠唱と共に霧から巨大な鳥が現れた。




呼び出された巨鳥は冥騎士に向かい相手の体を木っ端微塵にし霧となり、周りを白く染める。


もう冥騎士など、始めから幻想だったかのように跡形もなく消えていた。


「じゃあ行くわね」 巨鳥の使い手の彼女もまた、ここに来たときと同じように消えた。




兵士は皆その圧倒的な力を目にして言葉も出なかった。





―――――――――――――――――――


北門では、激しい攻撃の音が響いていた。




「何なんだコイツ!速すぎる!」 誠は騎士の攻撃を避けるのが精一杯だった。


一撃一撃の風圧が俺の髪を揺らす。 周りを見る暇もない。

 

考えろ こいつをなんとかする方法を! 




「おい!危険だ!離れろ!」 援軍の兵士の声がした。援軍のようだ。 


「一旦引く!足止めを!」俺はすぐにそう言った。このままだといつか切り裂かれてしまう。


「了解だ!雷球【サンドラ】一斉掃射!」


雷の球が相手に襲い掛かる。 兵士たちの様子だとどうやら全弾命中したようだ。 




「やったか?」兵士たちが叫ぶ。お決まりのアレだ。「お前ら油断するな!離れろ!」


爆発の煙の中から黒い鎧が見えた、その刹那 兵士が一人細切れになった。 生温かい感触が全身に降りかかる。


「マジかよ…」強烈な吐き気に襲われるが今はそんな状況ではない。




「何故魔法が効いていない!?教えろ!」兵士ならば知っているだろう。


「アイツ まさか魔法装甲か!」指揮官らしき人物が言った。




「魔法装甲?」 「下位魔法のダメージを完全に防ぐ防壁だ!今までの奴らには無かったのに…」




雨はどんどん強くなり、もう少しで視界を遮るくらいの大雨になりそうだ。


早めに決着を付けなければ…


その瞬間、俺の頭に一つの考えが過った。




「魔法で足止めくらいはできるか?」それさえできれば…


「可能だが…ダメージは無いぞ」 一筋の希望が見えた。



「上等だ」




覚悟は決めた。雨がこれ以上強くなる前に冥騎士を倒す。そのためには―――


「俺が行く」 指揮官の制止をよそに俺は騎士へ突っ込んだ。


「援護射撃頼む!」 兵士たちは一瞬困惑したがすぐに応じた。「撃て!奴を援護しろ!」雷の球が軌道を描き騎士に当たる。


俺もこのタイミングで剣を振れば―――




まるで俺の甘い考えをあざ笑うかのように鋭い剣撃が襲った。



「ぐああっ!」冥騎士に振り払われ吹き飛ばされた。剣越しだったため吹き飛ばされた程度で済んだが、自分も細切れになるところだったと思うと心底恐ろしい。


剣はまだ振れる。 剣に目を落とすと雷のエネルギーの名残なのか青く輝いている。 もしかして…剣が魔法を纏っているのか?


「おい!大丈夫か!」兵士が駆け寄ってくる。「あぁ 一つ頼みがある。遺言じゃないぞ」 



雨はよりいっそう強くなる――が 俺の剣の輝きが俺に力を与えている気がした。



「行くぞ!」全力で走り冥騎士の正面に行き、来るであろうと予測した初撃を交わす。 そして追撃の2撃目を雷の力を受けた剣で弾く。




「今だ!」相手は2撃までしか追撃しない。ならばそこで!


「準備できたぞ!今いる全員の雷魔法だ! おそらく上位魔法並みの威力はある!」 よし… これなら!




「行け!全段発射!」 号令と共に魔法が放たれた。 騎士の3撃目を受け止めている間に巨大な雷の球が到着する。


「うぉぉぉぉぉぉ!!」剣を球の着弾と同時に振り4撃目を相殺する。


「おい!あいつの剣が魔法が纏っているぞ!」「作戦成功だ!」 兵士たちの歓声が上がる。



「凄い… これが俺の剣――――」自分でも信じられない。 最初より青い光が強くなった剣を冥騎士に叩き込む。


装甲が割れ、雷が騎士の体を走った。 そして爆散する。



綺麗な青い欠片が宙を舞った。 後で知ったがこれは【魔族結晶】と呼ばれ、魔族の力の源らしい。


日が刺した空に舞う青い欠片。その光景は現実では見たことが無いくらい綺麗だった。



「やった…あいつ!やったぞ!」 「魔法を剣に纏うなんてそうそう出来ることじゃないぞ!」兵士たちの歓声があがる。


草原の上に寝転がり空を見る。虹が綺麗だ。




「今到着しました!って あれ?」 リリアだ。南門に行ったはずじゃ…


「マコト!よくやったわ!貴方って見かけによらず強いのね!」 一言余計だな…


「何かお礼をさせて! なんでもいいわ!」 



俺の願いはただ一つ




「じゃあ… 町を案内してくれる?」



―――――――――――――――――――


「予想以上に早い段階での発動です。アーズ様」


「そろそろ時間ですよ」


アーズ と呼ばれた女性は答える。


「そうね。 彼がこの世界に転移した理由を伝えましょう」



歯車が今 回りだす。

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