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小林晴幸のネタ放流場  作者: 小林晴幸
ネタの放流場
52/55

どうも、日本産オバケです。

 ちょっと夏の暑さに茹りまして。

 異世界+学校の怪談系ホラーな話を書いてみたいと、普段は手を出さないジャンルにチャレンジ……したはずですがホラーではない何かに変貌を遂げようとしてしまいまして。

 安定のコメディ路線に急転換しつつある気配があったので、そこで書くのを止めまして。

 書いたところまでがもったいないので、いつものことながら此処に投下と相成りました。



 ――昔々あるところに、愚かな国王と王子と神官と好事家がいた。


 その世界では、古の頃より『異人(まれびと)』と呼ばれる人間(イキモノ)が現れることが知られていた。

 彼らはその世界のどこにも所属しておらず、『異なる世界』から現れるのだと。

 そうしてその身柄を保証すべき帰属社会(うしろだて)を持たぬ異人共は、しばしば搾取の対象となった。

 ……いや、取り繕うのは止めよう。

 所属のない彼らに、『人権』はなかった。

 誰もが辿れぬ程に古い時代から、彼らの生殺与奪は好きにして良いものと慣例で決まっていた。

 その為、この世界に迷い出たばかりで世界の事情も慣例も知らぬ無垢な異人共は、素性を知られるや否や搾取され、虐げられ、騙され、裏切られ……従属させられ、生贄にされ、殺されることが珍しくなかったのだ。

 それでも見知らぬ場所に彷徨いこんだからか、異人には警戒心強く慎重に振る舞い、己の素性を隠すことに成功して生き延びる者達もいた。特に世情の乱れた世界から来た者はその傾向が強く、上手く立ち回ってこの世界の籍を手に入れ、人権を自力で掴んだ者達が。


 しかし、いつからだろう。

 この世界に迷い込む『異人』共が、腑抜けて思慮の浅く、甘い者ばかりになっていったのは。

 時に油断ならない異人がいる。そうと知られていたから、異人を見つけても出方を窺って友好的な態度を取る者もかつてはいた。

 相手が反撃する牙と知能を持つと知っていたからこそ、リスクを考えて横暴を控える者もいた。

 だが、相手が牙も爪もないと知れたら話は別だ。

 

 いつしか、用心することも無く。

 その世界の人々は『異人』を容易く扱えるイキモノだと認識するようになっていった。


 そんな時代が、何十年、何百年と続いたとある国で。

 一人の好事家が、一冊の書物を手に入れた。

 彼は『異人』の好事家だった。蒐集家といってもいいかもしれない。

 元々は五代前の当主が、幼少の頃に異人に助けられた。

 それをきっかけに異人へと憧れを持ち、理解を深めようと異人が別の世界から持ち込んだとされる遺物を蒐集するようになった。蒐集が五代も続けば、かつての当主が持った憧れと好意も忘れ去られる。ただ、研究し集めるという手段が目的にすり替わり、色を強くする。

 始まりの時には確かに相手を『恩人』として『人扱い』をしていたのに、いつしか『異人』という自分達『人間』とは別の生物なのだという認識が強くなる。

 変人の『異人』狂いとして名を馳せた、五代目。

 彼の名は知られていた為、『異人』関連の品が市場に流れれば自然と彼に情報が届けられるようになっていた。そんな彼の耳に、「異人が現れた」という噂が届くのも自然なことだったのだろう。

 滅多に表れない、異人。

 実物に会えると、喜び勇んで足を運ぶも既に異人は現地民に殺され、身包みをはがされていた。

 残念に思いながら、好事家は現地民から異人の持ち込んだ異物を高値で手に入れる。


 その中に、一冊の書物があった。


 それが始まり。

 国王を、王子を、神官を。

 そして好事家を欲に走らせた、最大のきっかけ。

 書物に巻かれた発色の鮮やかな帯には、はっきりした字体で『クラス全員が異世界召喚!』の文字が躍っていた。

 好事家やその先祖が長年の研究で編纂した『異人辞典』は、一時間とかけずに文字の意味を翻訳した。




 ――それから、三十年が経過した。


 欲深く汚い人間達の、様々な思いが絡み合う三十年だった。

 好事家は、『異人』への蒐集欲から。

 彼の考えに賛同し、研究を支援した権力者達もまたそれぞれの欲から。


 彼らは偶発的自然発生的にこの世界へと彷徨いこむ『異人』を、自分達の手によって望むままこの世界へと大量に『召喚』してしまおうと。

 目を見張るような才能や容姿を持つ者がいれば隷属させて手駒とする為に。

 十把一絡げの者達は奴隷として売り払い、労働力とするために。

 それぞれの思惑によっての召喚、そこに強引に呼び込まれる『異人』達の事情も意志も考慮されはしない。

 彼らにとって、『異人』に人権など無いのだから。


 自分達の考えの危うさや非人道さなど、自覚もなく。

 彼らは研究に研究を重ねて完成させた『大規模召喚魔法』を行使した。


 城塞都市として発展した王都の外、広がる草原の真ん中で。

 街道から外れた場所の為、人の目は少ない。

 『召喚』という今までに試みのなかった大規模な術式。

 国王からの要請を受け、利害の一致から研究を一手に担ったのは神殿が抱える研究機関。

 そこから派遣されてきた数十人の神官と魔術師たちによって、召喚の魔法陣は書き上げられた。


 魔法陣の大きさは、直径1kmに及ぶ。

 行使する魔法の意味も目的も知らされず、言われるがままに実行する下級の術師達はあまりに大きすぎる魔法陣を前に、一体何を呼び出すつもりなのかと畏れを募らせた。

 どれだけ畏れても怯えても、感情に表さず淡々と術を紡いでいったのは、命じられる立場が故に。





 ――そして、世界と世界は『三分間』だけ繋がった。









 誰彼(たそがれ)招く、逢魔が時。

 時はまさしく此岸と彼岸の境が曖昧になる、夕暮れの時間。

 とある年、とある町の十月三十一日、土曜日。


 緩く小高い山の上—―私立古賀峰高等学校は、赤く染まる空の下に佇んでいた。

 地元の者はそこが古い時代に滅んだ集落の、長の墓だと知ることも無く。

 今を住んでいる者達は、そこが合戦が日常の隣に存在した時代、小さな山城のあった場所だと知ることも無く。

 墓の上にあり、滅びを嘆きを血を涙を浸み込ませた土の上に、子供達の日常はあった。

 今も、部活に情熱と短い青春をかけた者達が、そこにいる。

 土曜日の夕方、学校には部活動や委員会等によって集まった僅かな生徒と、それを監督する何人かの教師だけがいた。




 時刻はまさに十八時を指す直前。

 『攻撃を受けた』――そうと認識したのは、学校の闇に沈む者達であった。


 ――最近、子供達は肝試しにも来ない。つまらん。

 ――仕方ないさ。現代社会ってやつはどうにも『セキュリティ』とやらを気にしすぎる。

 ――夜間も警備会社がうるさいものね。

 ――お陰で退屈……っ!?


『20××/10/31 17:57』


 うっそり暗い、校舎の物陰。

 長く伸びた夕陽が、影を色濃く深くする。


 とぷり


 床の隅、陰の一番濃いところから、黒い腕が這い上がる。

 黒い袖と対比して、白い絹の手袋が異様な存在感を放った。


『20××/10/31 17:58』


 腕は真っすぐに、壁へと伸びた。

 階段の踊り場にかかっていた、一枚の姿見に。


 姿見には異変が起きていた。

 鏡の前にあるものは、闇と黒袖の腕だけ。

 だというのに鏡に映り込んだ姿は、合わせ鏡に写る無限そのもの。

 腕は何かを探るように、鏡の上に指を這わせた。


『20××/10/31 17:59』


 闇の中、生者を辞めて久しい者達の声がする。


 ――加々見、加々見、何が起きたの。

 ――『攻撃』だ。学校が攻められている。

 ――そんなどうして! そんな気配はどこにも。

 ――違う次元から干渉されている! どこだ? どこから……っ


『20××/10/31 18:00』


 時刻はまさに、学校中の時計がひとつの例外もなく十八時を指した。

 その瞬間、学校は『彼らの世界』から姿を消した。



 全ての時計は、十八時丁度で針を止める。



 校舎の中から、窓越しに見えるのは夕暮れの世界。逢魔が時。

 だけれど校舎の外、校庭やグラウンドから見えるのは、異なる世界の青い空。


 彼らの学校は、そこにいた『者達』ごと召喚魔法によって次元を超えた。


 ――!! か、加々見、何が起きたの!?


 闇の中、動揺する者達の声なき声が響く。

 校舎の片隅、姿見の前。

 陰からずるりと、一人の男が這い出して来る。

 濡れ烏のような光沢を持った、黒いコートに白い面。

 黙して窓から空を眺め、硝子をずらして顔を出す。

 何が起きているのか、実際に目で見て確かめようとするように。

 グラウンドから悲鳴が聞こえる。

 夕方だったはずなのに、空は青。

 何が起きたのかと恐怖する子供達の声。


「参ったな。ここはどこだ」


 男の零した言葉は、途方に暮れているようにも聞こえるのに。

 声音に含まれるのは、ただただ鋭利に鋭い敵意と殺意。

 

 守らねば。

 彼の防衛本能が訴える。


 この場を守らねば。

 かつてそれだけを願い、命を落とした過去が訴える。


 生前最期の記憶が、突き動かす。

 ここ数十年、ずっと見守ってきた学び舎への思い入れ、子供達への情が突き動かす。

 男は、加々見は鏡の中に飛び込んだ。


 『此処』を守る為。

 『此処』に生きる者達を守る為。

 自分達の『長』に、今後の方針と行動の許可を得る為に。


 そして誰もが頭上から響く声を聴く。

 学校中に配置されたスピーカーから、ノイズ音交じりの声が響く。

 それはしゃがれた、威厳ある男の声だった。

 

『――緊急事態発生、緊急事態発生。全教職員と生徒達はA棟の地下二階、開かずの間(・・・・・)に避難せよ。繰り返す、緊急事態によりA棟地下、開かずの間(・・・・・)に避難せよ』


 誰かが籠城だ、と叫んだ。

 幾百年ぶりの籠城戦だと。

 学校の影という影、闇という闇から、染み出すように目には見えない黒い靄が這い出した。


 子供達の戸惑いが、悲鳴に変わる。

 きっと彼らも目撃してしまったのだろう。

 学舎のそこかしこ、影から這い出してきた異形の者共を。

 逃げろ、誰かが叫ぶ。

 その声に混じり、巧妙に逃げる生徒達の流れを誘導する者がいる。

 子供達は気付かない。

 自分達の流れを操る、人と変わらぬ姿の存在に。


 『彼ら』は、ずっとこの地を見守ってきた。

 『此処』で平和を紡ぐ、子供達を見守ってきた。

 『生者』に思うところの有るモノも、無いモノも。

 自分達の領域を侵されて、その意志を一つに固めて迎え撃つのだと闘志を滾らせる。


 守らなければならない。

 その気持ちはきっと、誰に強制されることも無く一致していた。



 



 ――私立古賀峰高等学校の怪談 その一



 最初に叫んだのは、好事家だった。

 老いに濁りの滲む目を、爛々と輝かせて声に喜色を滲ませて。


「素晴らしい……! あの誰も見たことのない造形、我らでは再現できぬ謎の建築技術! まさにあれこそ『異界』の砦に違いない!!」


 目の前、草原に広がる魔法陣の上。

 術の行使により突如何もない空間から出現したのは、巨大な灰色の建築物だった。

 広大な敷地を有しているらしい建物は、上空から拝めば『工』の形をしている。

 彼らにとっては、あまりに現実離れした建物だった。

 だが術の研究に携わってきた神殿の神官は、術の結果を研究してきただけに受け入れるのも早かった。

 好事家の声に緩く首を振って、苦笑交じりに否定を述べる。


「いやいや、あの建物はどう見ても防衛には向かない造りをしているじゃありませんか。塀も低く、開けた造りをしていることから考えて宗教施設では?」

「なんでも構わん。何であろうと、あの規模だ。数百人規模で『異人』がいることは確実だ!」


 好事家が力強く断言すると、その声が耳に入ったためだろう。

 国王と王子の頭に一気に血が巡る。

 脳内の算盤が、勢いよく計算を開始した。


 そうして、国王の号令の下。

 王子に率いられ、国家防衛の徒である筈の騎士達が『異界の建物』に突入した。

 功を焦り、狩猟本能に猛る者達—―奴隷狩りだ。


 相手は爪も牙もない、考え甘い『異人』共。

 例えそれが数百人規模の群れだろうと、相手が羊の群れなれば脅威などない。

 かき集められるだけ集め、用途と目的に応じて選別する。

 一方的で、簡単な仕事となるはずだった。


 少なくとも国王と王子の目算では、そうなるはずだった。


 彼らが『建物ごと』召喚なんてしなければ。


 召喚した側の誰もが意図しないまま。

 奇しくも恐怖の一夜(ハロウィン・パーティ)が始まった。


 こちらの世界では、まだ『昼』だったけれども。


 だけど『異界の建物』の中だけは、午後十八時。

 怪異が最も力を振るう、黄昏時だ。


 

 王子エドモンドは功に逸っていた。

 第一王子ではあったが、自分とは別の分野で優秀な腹違いの弟達がいる。

 王が身を乗り出して興味を示した、この『召喚事業』。

 誰よりも早く賛同を示したエドモンドに、王は気を良くしたはずだ。

 後継者として正式に指名される為にも、王の気にいる成果が欲しい。

 この『召喚事業』が大成功だった、その一端を担ったのが第一王子のエドモンドだった――という結果を示して、確固たる地位を手に入れる。

 王子の身勝手な事情により虐げられる『異人』の事など、どうでも良かった。

 否、国や自分の益になるような『異人』が手に入れば言うことも無い。

 『異人』には身分や権利を保障する、所属(うしろだて)がないのだから。

 どんな扱いでも、構わないのだ。


「お前達、『異人』は貴重な資源だ。良いか、怪我をなるべく負わせることなく捕らえよ! だが身の程知らずにも抵抗するようであれば、多少痛めつける事も目を瞑ろう。だが何度も言うが国家の資源、王に所有の権利がある。その事をよくよく念頭に置いて扱うように」


 『異人』は抵抗する力のない都合のいい存在だ。

 そんな固定観念が今の世にはあった。

 王子の号令で、『異人』を狩りの獲物だとしか思っていない騎士達が散っていく。

 十人ほどの小班ずつに分かれ、それぞれの獲物を後で自慢し合おうと軽口を叩きながら。


 しかし彼らは思い知ることになる。


 自分達の考えこそが、甘かったのだと。



 周囲を親衛隊で身を固め、王子は物珍しい『異なる世界の景色』に目を向ける。

 花壇の花々、植えられた木々……全てが今までに見たことのない植物だ。

 

「ふん、見たことない花ばかりだな。女性に贈るには小ぶりで地味だが……魔法薬の材料になるかもしれん。後で刈り取らせるか」


 冷めた目に写る全てが、彼にとっては有益か無益かで分けられる。

 面白味のない場所だと、そんな風に考えながら脳内の算盤ばかりを弾いた。

 そんな王子の前に。


 ずしゃ……ずしゃ……


 重たい物が、歩む音。

 それは生き物の足音ではなかった。

 しかし一定の音で繰り返され、段々と近づいてくるのだ。

 何が近づいているのか。

 王子と騎士達は、音の発生源を求めて振り返る。

 果たして、そこにいたのは。


 それは小柄な、あまりに小柄な姿だった。

 灰色に緑を足したような、独特な色味。

 何故か薪を背負った意匠(デザイン)の、特徴的な民族衣装と髪形で作られた彫像――

 これもまた何故か、同じ材質で作られた本を抱えて。

 ぺらり、ぺらり。

 動く筈のない重たく硬い本のページを捲りながら、ソレはやってくる。


 王子達は、その像の名を知らない。

 だが像がほんの少し前まで鎮座していた台座には、像の名が刻まれていた。

 この世界の者達には読めぬその字は、『二宮尊徳像』と記されている。

 身の丈1m程の、尊徳像。

 ゆっくり歩く足は、地面に小さな足跡(くぼみ)を刻む。


「な……っゴーレム、だと!?」

「なんと精巧な……馬鹿な、『異人』は魔術知識を持たぬ筈では!?」

「浮足立つな。アレがゴーレムであれば……近くに操る者がいるはz」


 ず、まで王子は言えなかった。

 彼が言い切るよりも、先に。


 それまでゆっくりと歩んでいた尊徳像が唐突に本を閉じて襟元にしまうと、いきなり爆速ダッシュで接近してきたからだ。

 それは見事なクラウチングスタートだった。

 まるで体育の教科書にある、見本のように。

 さすがは学校生活少なく見積もっても数十年。

 現代日本の体育教育が完璧に身についた素晴らしいフォームだった。


「ぎゃぁあああああああああっ!?」


 動転した、王子の悲鳴が校舎の狭間で木霊した。

 でもそんな王子様の悲鳴も、不意に途切れる。

 それはダッシュで駆け寄った尊徳像の、跳躍からの刈り取るようなラリアットが炸裂したせいね。




 『私立古賀峰高等学校の怪談 一、全力で力技に走る二宮尊徳像』

 

 異世界に転移してきた学校の、学校霊達が巻き起こす恐怖に翻弄される異世界原住民たち……を書きたかったのですが、字面は間違っていないのに意味合いがホラー系ではなくコメディ路線に変貌しつつありまして。

 そんなお話の、考えた設定が以下の通り↓




※学校の七不思議

 この作品では「元々その地で彷徨い留まっていた霊魂」を核として「その地に集った者達のイメージや噂話が一種の信仰となり形作られたもの」という設定。


とある学校の時代背景

 元は地方豪族の古墳として作られた人口の山。

 伝承は絶えて土地の者もそこが古墳だとは知らず、数百年前には小さな山城があった。

 その山城も殺し合いが平然と行われていた時代に焼き討ちに遭い、籠城していた数百人が死んでいる。

 山城だったという記録も薄れ、やがて土地の歴史をよく知らない者達によって学校が建てられた。




とある学校の七不思議たち

 この世に様々な理由からとどまっていた地縛霊諸君が学校という非日常空間の中で捧げられた「学校の怪談」という伝承によって姿と性質を歪められた存在。「怪談」としての曖昧さから実体と霊体の姿を併せ持つ。元々が霊魂なので物理攻撃無効。

 最近は夜中に学校で肝試しする子供が施設警備の関係ほとんどいない為に退屈していた。


 また異世界では宗教が異なるのでターンアンデッドなどの聖魔法系の攻撃も無効。精霊を介した霊的攻撃のみ若干有効。

異世界人「なっ……聖属性の魔法が効かないだと!?」

学校霊「我らを滅ぼしたければ坊主か神主を連れてこいやぁ!!」

生徒「坊主か神主!? この異世界で!? 無理だろ」




・合わせ鏡の中の悪魔 ※主人公 個体名『加々見』

 元は山城時代の若武者。かつては真面目で優秀だったが一度死んだことと、学校という若者のうだうだ適当に生活する場面を見せつけられ続けたことで擦れてしまっている。順応力が高かった為、現代の若者知識にそこそこ染まってしまっているようだ。

 能力:次元干渉、合わせ鏡


・トイレの花子さん

 元は虐めに耐え兼ねて自害した女性。その死亡歴から子供嫌いで人間不信。裏表のない他の怪談メンバーには仲間意識があるが、基本的に引きこもっていて出てきたがらない。引きずり出された時には半ば怒りでキレる事も多々。他の怪談メンバーに最も気を使われている存在。

 昨年、実兄の孫娘が入学してきたので密かに気にしてソワソワしている。

 能力:次元干渉、トイレ用具滅多打ち


・歩く二宮尊徳像

 基本的に無口でいつからいるのかも定かではない尊徳像。中身は大分古い時代の人間らしい。

 動く石像の見た目から、異世界ではゴーレムと思われることも多々。だけどどれだけ探しても『真実』の文字は見当たらない。

 タフで頑丈でとにかく防御力が高い。スルースキルも高い。そしてダッシュが速い。


・動く人体模型

 理科室の現役人体模型とは別物だが、大正時代の苦学生だったらしい。叶わぬ恋に身をやつし、病を得て亡くなった。羞恥心は七不思議メンバーの中でも高い方で、赤面癖がある。そして裸体は本人的にアウトな為、人体模型の癖に学ランにインバネスコート、学帽という姿で現れる。顔立ちは生前に準拠。

 能力:皮剥ぎ、生物標本の使役


・講堂の啜り泣く声

 夜中に講堂で響く、すすり泣く少女の声……正体は大正時代の、地元の豪商の娘である。この学校に通っていた少年と恋に落ちるも、家の決めた縁談から逃れること叶わず泣く泣くお別れした。祝言の前夜、家に引き裂かれた想い人が重い病にかかった上、実家の手回しで医者にも掛かれず落命したことを知る。その悲しみから、想い人と初めて出会った場所である彼の学校で自害。以来、ずっと泣いている。花子以上の引きこもりで仲間の前にも姿を現さず、七不思議たちからはよくわからない存在扱いを受けている。実は人体模型こそがその恋人だが、互いに顔を合わさないので自分達の思い人がそこにいることを互いに知らない。

 能力:極めて強力な精神干渉、精神汚染


・音楽室のひとりでに鳴り出すピアノ+目が動くベートーヴェン

 普段は玄室に引きこもり、大体惰眠を貪っている『古墳の主』の影。

 支配下にある学校霊たちとコンタクトを取りやすいよう、音楽室に居座っている。

 厳密には『古墳の主』と別人格扱いのようだが、色々似ている部分もある。

 役割的には『古墳の主』の伝令や御用聞き、学校霊と『主』の橋渡し。

 また学校霊同士のもめごとの仲裁なども行っている。

 夜は大体音楽室で訪ねてきた学校霊たちとどんちゃん騒ぎしている。

 能力:音響効果、声真似、幻惑


・存在しないはずの地下階段(開かずの間)

 学校の地下に存在する、空間の歪み。その先に開かずの間と呼ばれる大扉が存在する。

 扉の先には空間面積のおかしい広い岩壁の空間、奥には石の棺。

 古墳の玄室に繋がっており、そこに埋葬された古墳の主こそが学校霊たちのボスである。

 自分の墓の上で何百年もどったんばったん色々ありすぎて、もうなんか色々悟りを開いている。

 墓の上で暴れられても、今更何も感じない仙人めいた中年男性。

 ただし『古墳の主』という付加要素から、学校の霊的地場の支配権を握っている。

 鷹揚で退屈に飽きている、飄々としたオッサン。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 異世界の連中がひどい目にあう未来しか見えません。 妖怪さんたちが素敵でした。
[一言] す、好きです。
[気になる点] どうしよう、続きが凄く気になる
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