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小林晴幸のネタ放流場  作者: 小林晴幸
ネタの放流場
35/55

聖女として異世界に召喚されたとある侯爵令嬢の話。

なんかふと思いついちゃったので、設定だけ書き起こしてみました。

拙作『没落メルトダウン』関連のネタでもあります。

 彼女が召喚されたとき。

 その姿を見て、心底から歓迎した者は僅かだった。


 王国を襲った未曽有の危機。

 破滅の主を名乗る影が、その黒い手を王国全土に広げようとしていた。

 国王は状況を打開する為、一つの決断に踏み切る。

 即ち、『聖女』の召喚。

 強い浄化の力を持つ、女性の姿をした救世主。

 古の文書を紐解き、彼らは救い主を求める。

 儀式は妨害されることなく、滞ることもなく進み……


 そして、『聖女』が異世界から降臨した。


 御年9歳の、『聖女』が。


 ……幼く、あどけないその姿を見て、人々は硬直した。

 勝手な先入観だが、誰もが妙齢の女性が現れると思っていたのだ。

 幼さ故に組み易しと喜んだ者は僅か少数。

 何故なら聖女には、王国を救う為に少なからず苦難の道を歩んでもらわねばならないのだ。

 幼いということは、つまり年齢とともに培うべき理性や忍耐が足りぬということ。

 経験と共に学んで身に着ける、理解力や判断力が弱いということ。

 幼いから組み易いだなどと、とんでもない。そう思ったモノこそが浅慮である。

 危険を前にして、恐怖で泣き叫び、逃げまどわれたら……

 いいや、それ以前に役目の重要性を理解してくれるかどうかすら怪しい。

 国の救世主として神の選んだ相手だ。

 状況は勿論説明し、相応に理解や協力を求めはしよう。

 だが、親元を恋しがって泣き喚かれでもすれば……

 幼子が泣くのは、仕方のないこと。

 ましてやこのような状況下では、召喚した者達は甘んじて子供の慟哭を受け止めねばならない。

 

 気鬱だ。

 誰もが、聖女の幼さに失望を感じていた。



 だが、しかし。

 取り乱すかと思われた聖女は、存外平静で。

 冷静な目で己の置かれた状況を見つめ、静かに人々の話に耳を傾け――……


 聖女は、粗方の事情を聴き終えて言った。


「聖女、ですか……つまり宗教に裏打ちされた権限が認められ、公的権力を振るうも思いのまま、ということですわね?」


 一通りの説明をした者達に、確認を求める聖女の声に。

 先程とは別の意味で戦慄を覚え……召喚の儀式に居合わせた全員が、思った。


 ――とんでもない聖女(もん)を呼び出してしまったのかもしれない、と。





聖女 アレクシア・エルレイク(9さい)

 故郷では侯爵令嬢。

 幼いながらに侯爵令嬢に相応しい品格と振る舞いを心掛ける幼女。

 己の身分に胡坐をかく愚行は恥ずべきものと心得ている。

 取敢えず召喚なんて訳の分からないことに巻き込まれた分に見合った賠償を求めたい。

 自身は精霊信仰と祖先崇拝で生きてきたが、神を崇める系の宗教にも理解はあるつもり。

 だって知り合いに『神の子』がいるから。

 尊敬する人:おばさま

 特技:異文化コミュニケーション(物理)

 多分ご先祖様(人外)にお願いしたら一時間で家に帰れる。


国王(53歳)

 太鼓腹のおっさん。陰気で厳めしい、威圧感たっぷりのおっさん。

 だけど酒を呑ませて腹踊りとかさせてみたい。


王子(20歳)

 太鼓腹のおっさん(実父)とは似ても似つかぬ正統派美青年(王子様系)。

 蜂蜜を連想する金髪に、空の様に澄んだ青い瞳。

 だがこの年で婚約者の一人もいない辺り、実は性格に問題があるのかもしれない。

 腰のサーベルは飾りでしょ? と聞いてみたい。


宰相(31歳)

 国政のトップ集団に食い込むにしては随分と若造。

 優秀なのは間違いないのだろうが、何か後ろ暗い手段でも使ってないか?

 銀灰色の髪に薄氷色の瞳をしており、メイドたちに「冬の君」とか呼ばれちゃってる。

 「冬の君(笑)」だってよ、「冬の君(笑)」。


大神官(27歳)

 おっとり穏やかで春の日差しの様に温かく柔らかな雰囲気の、宗教面での最高権力者。

 この年齢とこのおっとりさで、随分と大きな権力を握っていやがる……。

 だがしかし若すぎるので、たぶん傀儡。

 きっと血筋とかそこらへんを鑑みた上での形だけの役職。

 見栄えがとってもよろしいので広告塔的な役割を担う為に選ばれたのかもしれない。


聖騎士(25歳)

 怜悧な印象の野性的なイケメン。青い髪に金色の瞳。

 聖女の護衛を担当する隊の隊長さん。責任感が強くて真面目な堅物。

 顔と腕は直結しますか?って聞きたくなるくらい女性に人気。

 あまりに女性人気が高すぎて他の奴が尻込みし、こいつが隊長になった説が流れている。

 女性の歓声を煩わしく思っており、女性嫌い。

 ……が、流石に幼女相手に女嫌いを発揮したらただの大人げない馬鹿なので、聖女の前では女性への嫌悪感を封殺して自重している。


従者(15歳)

 つまりは聖女の世話係(げぼく)

 顔は可愛いが仕事に妥協しない仕事人。

 どんな我儘女が召喚されても対応できるよう、若さに見合わぬプロ根性を持ったプロフェッショナル侍従さんから引き抜かれた、どこに出しても恥ずかしくない一流の従者である。

 ……が、聖女が思った以上に若かったので一緒に並ぶと子守のおにーさんにしか見えない。

 しかし聖女は我儘ではないが、生粋の上流階級育ち。

 しかも人使いが荒い面があるので、予想とは違う方面で苦労しているようだ。


召喚士(203歳)

 聖女を異世界から呼び出した召喚儀式の責任者。

 一応、呼び出した張本人ということで聖女の行動に責任を持つことに……

 つまりはあれです、暫定的な責任sy……いえ、保護者です。

 なんとなくウーパールーパーを連想する空気感を持つ天然さん。

 さらりと長い黒髪直毛のダークエルフさん。

 耳はとんがってるけど、特にぴこぴこ動いたりはしない。


公爵令嬢(18歳)

 前世の記憶とか持っちゃってる系のお嬢様。

 お約束の様に金髪縦ロール。

 特に心当たりがある訳でもないのに、漠然と周囲の状況からこの世界を『乙女ゲーム』の世界だと思い込んじゃっている可哀想なお嬢様。空回り系。

 しかも自分を悪役令嬢だと思い込んでいる様子。

 聖女=ヒロインだと思い込んでいたが、やってきたのは幼女だった。さあ、どうする!

 ちなみに周囲からは妄想癖がある残念令嬢だと思われているが、その認識で間違ってはいないという。


犬(?)

 聖女が自分の世界からうっかり連れてきちゃったナニか。

 一匹しかいない筈だが、たまに増えているような錯覚を覚える者が多数。

 「にゃーん」と鳴く。



多分、おうちに帰る頃には国丸ごととか掌握してそう。

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