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小林晴幸のネタ放流場  作者: 小林晴幸
ネタの放流場
26/55

黒露姫と7人の残念な美形

なんか昨日、ぱっとこんなのが頭に浮かびまして。

元ネタは白雪姫ですが、我ながら歪んだなぁと思います。

 

 昔、この地には巨大な多頭龍がいた。

 それは圧倒的な力を持つ暴龍で、何もなくとも複数の口から毒の息を吐き、近づく者を誰であろうと殺め、大地は死の国と化した。

 人の視界には納めきれないほどの巨体となってなお成長を続ける龍の存在を、誰もが恐れた。

 このまま更に大きくなっていくのであれば、いずれ被害は彼の地だけには留まるまいと。

 そこで八人の賢者が知恵を束ね、龍を殺す為の武器を作り上げた。

 それは、見た目には一振りの剣のように見えた。

 だがその実は人の手では殺せぬ程に巨大な龍をも一閃で命を絶つ危険な兵器であった。

 剣の使い手に選ばれたのは、一人の若者。

 心映えも肉体も、数ある者の中から選り抜かれたまさに『勇者』。

 若者は剣を手に、龍へと立ち向かっていった。


 やがて死闘の末に龍は倒れ、若者は息を吹き返した大地に一つの国を作った。


 今となっては誰も名を覚えておらず、ただ『霧の国』と呼ばれる古の大国である。

 

 龍の棲み処であった彼の地。

 絶大な功績と人格でもって英雄の王が一大国を築いた彼の地。

 彼の地に王国は既に無い。

 今となっては広大な森が広がるばかりである。

 周辺国家から一時に攻め入られ、最後の女王が呪いをかけた。

 例え我が身が滅び、国が滅びようとも。

 卑劣な侵略者共に、祖先が切り開いたこの地は渡さない。

 女王の死が訪れると同時に、あらゆる植物が彼の地で爆発的な成長を始めた。

 誰もが留まることを敵わずに逃げ去り、三日が経つ頃には森へと変じていた。

 森には何時であろうと常に人の侵入を拒む濃い霧が立ち込め、死を迎えて人間以外の『ナニか』に変じたのだとされる最後の女王……『霧の女王』と呼ばれる者が森には棲まうという。

 以来、森は『霧の森』と呼ばれ、人々を寄せ付けることなく今も尚そこにある。

 『霧の国』への侵略戦争を繰り広げた周辺諸国は森を拓くこと敵わず、森の外縁に沿うようにして国土を刻んだ。

 ただ北西の地に根差した国のみが、僅かながら森への侵入を許された。

 それは彼の国が、『霧の国』の流れをくむからだと……

 滅亡の最中、国外に逃がされた王弟の興した国だからだという。


 そして、数百年の時を経て。

 北西の国に、『霧の女王』によく似た容姿の王女が生まれた。

 心映えは美しく、立ち居振る舞いは優雅で清楚。

 見る者の庇護欲をそそる、儚げで慎ましやかな美貌。

 まるで朝の光に輝く白露の如きと、王女は人々に『白露姫』と呼ばれるようになる。


 これは、王位を巡って城を追い出された白露姫の物語。



白露姫

 裏のあだ名:黒露姫

 清楚で控えめな美少女だと思われているが、実際は特大の猫を装備している。

 本来の性格は毒を含んだ腹黒さんだが、計算高いので民衆の前では淑やかな姫で通している。

 父王の死を迎え、女王として即位するも腹違いの弟に公金使い込みの濡れ衣を着せられて陥れられる。

 そのまま口封じに処刑されかけ、牢を破って逃走。女王に即位した三週間後のことであった。

 この上は異母弟にだけは玉座を譲るまいと、執念と根性で復讐を試みる。

 その為の手段兼脅迫材料として、祖先の偉業を支えた伝説の武器(過剰武装)を回収する為『霧の森』に向かう。

 かなりの強か腹黒さん。


七人の残念美形

 『霧の森』に住まう『霧の女王』は、人間辞めて以来自分の心に素直に生きているらしい。

 美形男子を問答無用で集めて森の奥に逆ハーレムを築いているとまことしやかにささやかれている。

 そんな中で、逆ハーレムメンバーとして攫われたものの最後の最後で選考外にはねられてしまった7人の(残念)美形がいた。『霧の女王』をして「観賞用に限る」と断言された残念ぶりであった。

 逆ハーレムから外された彼らはしかし、霧に惑わされて森を抜けること敵わず。

 森の中の素敵な一軒家で、仕方なしに身を寄せ合って共同生活を送っている。

 そして『霧の女王』が済むというかつての王国の王宮跡を目指す白露姫と出会う。

 唯一自由に森を行き来できる『霧の王国』の末裔の中でも濃い血を持つ白露姫。

 彼女の助けがあれば森を脱出できるかもしれないと知り、交換条件として協力することに。


アポロ

 残念美形たちのリーダー。

 元は北の国の王子だったが、魔女の逆鱗に触れて呪いにかけられる。(しかも逆恨み)

 頭髪が一本残らず死滅するという、ハゲの呪いを……

 まだ若いのに残念なことである。

 呪いを解く方法を探して放浪していたところ、『霧の女王』に攫われた。

 普段はヅラを被って(封印)いるが、呪いにかかって以来強力な光魔法(ハゲ)が使えるようになった。


スコーピオン

 自信過剰で傲慢、自分の才覚を鼻にかけたうぬぼれ屋さん。顔が良くて堂々としたス●夫。

 だけど真っ当な武器の適性は皆無で、何故か後ろ暗い方面にばかり輝かんばかりの才能が発露する。

 そんな自分を「何故なんだ……!?」と苦悩しつつ、必要に迫られて技能を磨いている。

 金庫破りと罠の設置が得意。

 冷静に自分を見つめると暗殺者か盗賊のような才能ばかりな現実から懸命に目を逸らしている。


ドラグード

 目の前にいようが遠くにいようが、人と目を合わせられないレベルの対人恐怖症。

 かつて継母から壮絶な虐待を受けた過去に起因しており、パニックに陥ると過去の辛い記憶がフラッシュバック現象を起こして暴走する。

 常に長く伸ばした前髪で視界を多い、うつむきがちでおどおどしている。

 しかし身長がやたら高い男なので、おどおどされても存在感が鬱陶しくなるだけである。


グリフィス

 共同生活が困難なレベルの潔癖症。

 いちおう空気も読むし立場もわきまえてるし、家の外でならそこまで五月蝿くは言わない。

 しかしそこが家の中、部屋の中であれば発狂しそうな勢いで掃除と消毒に余念がない。

 自分のテリトリーは徹底的に綺麗にしないと気が済まないタイプ。

 住環境を清潔に保つことが生まれて以来の使命だとすら言い切った。


ラビ

 常に半ズボンばかり穿いている痛々しいショタっ子。

 12歳くらいに見えるあざといショタっ子、外見ばかり若々しいが、実は32歳。

 野太い地声を嫌っており、常に裏声で生活している。だがマジギレすると地声が出る。

 残念美形たちの中では唯一の妻子持ちで、森を脱出して国に帰りたいとよく愚痴っている。

 地元ではこれで聖職者だったというが、具体的な話は誰も聞いたことがない。(神官騎士)

 これで信仰心は厚い方。攫われて以来宗教事から遠ざかりがちな面子の信仰面を支えている。


ライアン先生

 狂気に支配されたマッドサイエンティスト。顔は一番良いけど頭がいっちゃっている。

 薄汚れた白衣の下に、直視し難い謎の研究の産物である謎の薬物入り試験管を大量所持している。

 本名、実年齢、出身地すべてが謎だが、きっと指名手配犯だろうと仲間達は考えているようだ。

 マッドサイエンティストだけど頼まれたことはちゃんとやってくれるし共同生活には協力的なので、話の通じるマッドサイエンティストである。


レオナルド

 煩悩に支配されたエロ思考の童貞25歳。こじらせ中。

 女の人を前にするともじもじしながらとんでもないことを言い出す。

 ある意味純粋と言えるほどに突き抜け、行動には駄目な意味で一貫性がある。

 あまりにも女性を神聖視し過ぎているが、女性であれば割となんでも良い。

 可愛い女の子の可愛い行動にくねくね身悶える光景からは、仲間達もそっと視線を逸らしてしまう。

 


鏡の短剣

 元は白露姫の継母……異母弟の実母が有していた魔法の鏡。

 白露姫は七歳の時に継母に毒殺されかけ、魔女だと糾弾して処刑に追いやったことがある。

 その後、形見として鏡は異母弟の手に渡るも、城を脱出する際に白露姫がぶっ壊して行った。

 それも修復されることの無いよう、鏡の核ともいえる一番重要な破片を持ち逃げして。

 本来は持ち主のありとあらゆる疑問に答えてくれる魔法の鏡。

 今では鏡の大きな破片に手ごろな柄をつけて短剣とされた。

 ただし鏡から短剣になったことで本来の使命は歪み、かつては使用者の『疑問になんでも答えていた』ものが、今は『是か否で答えられる範囲の質問に限り答えを返す』。ただし必ず誤った答えを。 


異母弟

 姉である白露姫を陥れ、城から追いやった張本人。

 実は白露姫に盛大によじれて捩じれて拗れた異常な愛憎を向ける隠れシスコン(病気)である。

 白露姫本人にもそのことは伝わっておらず、本人も伝える気はない。

 ただ自分の手で姉を苦しめのたうち回らせ、手のひらの内に閉じ込めて監禁したい(犯罪)。

 処刑したと見せかけ、密かに自分のテリトリーで飼い殺すつもりだった。巨大な鳥籠を準備し、うきうきとその時を待っていたのだが寸前で姉に逃亡される。そのことにもガッカリしつつ、このまま黙って引き下がるとは思えない姉が自分に何をしてくれるだろうとうきうきしている。

 姉が自分に憎悪を向けたり抵抗したりすればするほどゾクゾクするという変態さん。



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