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小林晴幸のネタ放流場  作者: 小林晴幸
ネタの放流場
14/55

竜の赤い星 ~我と私のどきどき☆同居生活~

こちら、2015年2月26日に出だしだけ書いて放置していたブツになります。


 その出会いは、両者にとって突然。

 片方にとっては長い年月の中で出来た空漠を突くが如き出会いで興味の対象となり。

 片方にとってはまさしく突然の悪夢に等しき災難そのものとして降りかかった。

 そして前者にとっては暇潰し同然の気まぐれを発生させる起因となり。

 後者にとっては長き抑留の日々を招く運命の始まりとなった。


 前者の名はゼネレイドグゼルエイディテベルファイヤ。

 額に輝く赤い魔結晶! 黄金に輝く爬虫類の瞳!

 空に溶けそうな澄んだ色の鱗! 何者をも蹂躙する鋭い爪と牙!

 皮膜の翼は大きく広がり、絶対的強者にして生態系の頂点として君臨する覇者。

 どこで区切って良いのかすらも良く分からない長い名前は、(ドラゴン)の特徴である。


 後者の名はΠᐑᚡ∵ᚄងែ▲᠀᧢᧰ᴔἂ₡ឳ₤⌠☄✣⠳。

 誰にも負けない柔軟性を発揮する、掴みどころのない艶かしいボディ!

 全てのモノを見通さんと身体の内部から縦横無尽に全方位に隙のない視線を送る眼球!

 時としてグラデーションに変化する体色はカメレオン顔負けの擬態を発揮する…!

 人間には凡そ発音すら出来そうにない名は、夜空に輝く『᧥ᴣ᧰ឤ第3星』の住民の特徴である。


 両者にとって未知とのファーストコンタクト。

 それはとある麗らかな薫風漂う5月の昼下がりのことだった。





【side (ドラゴン)


 これまでに長く生きてきて、この翼で世界を駆け巡ってきた。

 この世の全てを見たとは言わぬが、大抵のモノは見聞きしてきたつもりである。

 そんな我が、今。


「なんであろうか、これは…生物か?」

『……………』


 何やら謎の軟体生物を発見してしまった。

 5千年生きてきて、初めて目にする生物だった。

 

 このあたりにこのような生物はいなかったはずだが………

 軟体生物といえど、どうやら『軟体妖物(スライム)』とは違うようだが。

 得体の知れぬ未知との遭遇。

 5千年以上の時を生きてきて、何百…何千年ぶりの知的好奇心を擽る出会い。

 最早忘れかけていた、『好奇心』という感情の動きを思い出す。

 特に今、何かせねばならないという用事もない。


 ――我はこの日、棲家に『謎の軟体生物』を拾って帰った。

 特に育て方も、世話の仕方もわからないのだが。

 しかしその『わからない』ことを今後実地で調べていくのも、また一興。


 気分は、カブトムシを拾って帰る人族の幼子と大して変わらなかった。



【side 謎の軟体生物(エイリアン)


 遥か遠く離れた母星よりの命を受け、こうして未開の原始的な惑星へと降り立った。

 侵略の足がかりとは、まずは地道な実地調査から始まる。

 ()は、特務調査隊の隊員である。

 母星よりの命あれば、いかなる場所のどのような事柄であろうと全てを赤裸々に暴き上げ、母なる星に捧げる。

 それが私の仕事であり、使命だ。


 今回は多様な生態系を内包する豊かな星を欲した母星の指示に従い、侵略対象である惑星(ほし)の一つへと降り立ったのだが……。


 私は現在、『理不尽な暴君』との対峙を迫られている。


 私の有する隠密性と調査能力の高さを買われての、単独調査。

 それが仇成す日が来ようとは……つい3分前まで、微塵たりとも予想していなかった。

 下等な原始的先住民になど見つかるまいと高をくくっていた。

 しかしまさか事前調査で判明した高等知的先住民『ヒト』ではなく、このような図体ばかり巨大な獣に見つかるとは……

 直に惑星に降り立っての実地調査を行う前に行った予備調査では、この惑星で辛うじて文化的・文明的と呼べる生活スタイルを有する先住民族の存在が明らかとなっている。

 幾つかの(タイプ)に分かれた生活様式、身体特徴、身体性能などの違いから、彼らは惑星の中でもそれぞれに集落を分けて独自の進化を遂げているようだ。

 だがそれらは共通して、宇宙でも『ヒューマン型』と呼ばれる生命体に分類できる。

 間違っても目の前の『理不尽な暴君』のように、巨大な異形の生物は文化的・文明的な生活スタイルを有する知的生物として報告されていない。

 なのでこの生物は碌な知能を有していない、はず……なのだが。


 私をじっと見つめてくるのは何故なんだろうな?

 きょとんと首を傾げながらも、襲うでも遊びかかるでも、逃げるでもなく。

 さりとて放置しようという意識も感じられず。

 その深い色をした眼差しには、何故か深い知性を感じる。

 私の気のせいだと思うのだが……。


 じっと私を見下ろしてくる、この惑星の現地生命体。

 生物のタイプとしては…以前降り立った『とぁςଢおいഐうฒ‡ℒてらいḂᚡお星』の『爬虫類(トカゲ)』など称される生物にどことなく似ているだろうか。

 

 私は完全なる調査専門の隠密タイプ。

 戦闘は不得手どころではない。

 だが目の前に立ち塞がる生物は……。


 このまま無理を承知で戦うか、それとも食われるか。

 私の前にはそういう二択が迫られているのだと私は理解した。

 だがその理解も、『理不尽な暴君』が一鳴きすればたちまち雲散霧消してしまう。

 ああ、私はここで、故郷の空を見ることなく死んでしまうのか。


 ――そう、思ったのだが。


 この『理不尽な暴君』が何をどう思ったのかは、知らない。

 だが。


 私がこの『理不尽な暴君』に体を逃げる隙もないほどがっちりと掴み上げられ、有無を言わさず強制的に空の遊覧飛行と興じる羽目になっているのは紛れもない事実だ。


 ……はっ いや待て飛行!?

 この生物、空を飛ぶなど反則ではないのかーっ!!?




 




 

予定ではこの後、得体のしれない虫を見つけた小学生男子のノリで、異星人ならぬ異星生物を鳥籠(ミスリル製)に監禁したドラゴンの観察が始まります。

どんな餌を好むのか、とか。

どんな行動をとるのか、とか。

異星生物はそんなドラゴンに振り回されながら脱走を試みるものの悉く失敗していく……という。

そんなお話にする予定でしたが、オチは決まっていません。

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