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不器用な俺。  作者: sprint
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第八話:悲しき誤解

なぜだ、なぜそんな悲しそうな目をするんだ。



「ご、ごめんなさい・・・いきなり変なこと聞いちゃって・・。」


必死に作り笑いをして誤魔化そうとしている。

しかしその姿はとても痛々しく誰が見ても見破る事の出来る笑い方だった。


好きな人が目の前で悲しそうな目をしているのに俺はどうすれば良いのかわからない。

優しい言葉をかけてあげる事も出来ず、ただ近づいてくる地上を眺める事しか出来ない。

そんな情けない自分がとても不甲斐なく感じた。


「こ、こんな事どうでもいいですよね・・・。」


(嫌いなわけないじゃねぇかよ・・俺にとっては重要なんだよ。)


「・・かよ。」

「えっ?」


重く閉ざしていた口をようやく開くことが出来た。

















「笹山の事・・・嫌いなわけないじゃねぇかよ・・・。」


うまく言う事が出来ず、聞き取りにくい声になってしまった。

それだけならまだしも言い方にどこか棘のある、とても冷たい声だった。


そんな声であっても笹山はしっかりと返答してくれた。


「だったら、なんで・・・?」


何かを思いつめたようなそんな感じで問いかけてくる。

そのときだった。

笹山の目から先ほどまでずっと堪えていたであろう、大粒の涙が零れ落ちたのは。



「なんでいつも私の方をきちんと見てくれないんですか・・・?」

一度零れ落ちてしまった涙は止まる事無く流れ出す。


「いつもいつも先輩は私と顔を合わせるたびにそっぽ向いたり目を逸らしたり・・・」

もうこの時点で笹山は号泣してしまっていた。


俺は好きな子を泣かせてしまったんだ。

そんな自己嫌悪が急に襲い掛かってくる。






「片桐先輩や綾香の時は真っ直ぐに目を見て話しているのに私の時は違ってて・・・ひっく。

だから・・・私だけ先輩に嫌われちゃってるのかって思って・・・えぐっ。」



ところどころに泣くとき独特のしゃっくりのような感じが入る。






「違うっ!! 違うんだ・・・」





思わず声を荒げてしまう。

俺にはこうして否定するしかなかったんだ。





「俺は・・・」





(嫌いだから逸らすんじゃなくて、好きだから合わせられないんだよ・・・)






言おうとした瞬間、無情にもゴンドラの扉が開かれる。

「ご利用ありがとうございました〜。」

係員の営業スマイルが飛んできた。

余計なお世話だ。

ましてやこんなときだ、空気くらい読んで欲しい。




俺たちは無言のままゴンドラを後にすると、先に降りて待っていた翼たちの元へと向かった。

二人とも俺たちの尋常ではない雰囲気を察してくれて変に詮索されることは無かった。

しかし詮索されなかったとはいえ気まずい雰囲気である事には変わりない。


すぐに遊園地を後にすると、この雰囲気のままそれぞれ帰宅していった。





さっさと着替え、そのほかには何もせずにベッドへと。

先ほどの状況から早く逃げ出すかのように。


目を瞑ってこのまま消えてしまいたい気分だった。




俺の何気ない行動が笹山の事をあんなにも傷つけているなんて。







「先輩は・・私のこと、嫌いなんですか・・・?」


「なんでいつも私の方を見てくれないんですか・・・?」


「片桐先輩や綾香の時は真っ直ぐに目を見て話しているのに私の時は違ってて・・・ひっく。

だから・・・私だけ先輩に嫌われちゃってるのかって思って・・・えぐっ。」





あの必死に作った作り笑いが。

あの今にも泣き出しそうな目が。

あの涙が零れ落ちて止まらなくなってしまった泣き顔が。


走馬灯のように俺の頭の中を駆け巡る。



心が痛む。

ドキドキするのではなく心臓を抉り取られるような感じ。






俺は・・・笹山の事が好きなのに・・・。





嫌いなわけ、ないのに・・・。






読後感が非常に悪くて申し訳ありません^^;

告白は大会が終わってから!って勝手に決めちゃってて(ぇ


大会は小説の中で見て明後日になります。

多少もどかしい感じはあるかもしれませんがもうしばらくの辛抱を・・・。

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