第二十二話:到着
「つ・・疲れた。」
体のあちこちが痛い。
あれから二時間ほどスキーの講習があった。
何回こけたのだろう。
多分班の中で一番こけたと思う。
その度にみんなに笑われた。
しかも転んでる時に写真まで撮られたし。
散々な目にあった。
これが後、二日間も続くのか。
なんだか憂鬱になってくる。
スキー場から宿舎に着くまでの間そんな事を考えていた。
バスはどんどん山の奥へと入っていく。
くねくねと曲りくねった道ばかりあるので酔いそうになった。
ようやく宿舎に到着。
結構大きな宿舎である。
そりゃ三年生以外の生徒全員が泊まるのだから広くないとダメだが。
担任がまた何か叫んでいる。
「今から部屋の場所を説明するから責任者は取りに来いよー。」
そういえば事前に班を決めてたっけ。
俺らの部屋の班は俺・翼・牧野・栢山・日高・三月の六人。
またこの面子かと思うともう笑うしかない。
確か責任者は翼。
たまにはやるか、と思い責任者に立候補したが朝寝坊しそうだからと言われ満場一致で同じく立候補していた翼に決定。
そんなに俺ってだらしないか?
「あ、俺らの班の部屋決まったから。」
担任の元から翼が戻ってきた。
「俺らはここ。藤の間。」
宿舎の案内図を見つけ、一番角の部屋を指差す。
「やった! 一番端じゃん! 先生達あんまり来ない!」
牧野と三月が騒ぐ。
この二人はどうやら馬が合うらしい。
ほとんど会話などした事が無いはずなのに早くも打ち解けている。
まぁ、類は友を呼ぶとか言うしな。
「あんまり簡単に考えない方が良いと思うよ。端とかって結構先生達も目、付けるって言われるし。」
栢山がすかさず厳しい突っ込みを入れた。
こいつは言いたい事をズバズバと言ってくれるから結構気分が良い。
言われる側になるとイラっとくる時もあるけど。
「まぁまぁ。来ないに越した事は無いんだからさ。気楽に行こう?」
翼が栢山を諭すように言う。
「そうっすよ! 片桐先輩ナイス!」
三月もそれに同調する。
栢山もいつもどおり反論してくるかと思ったがやはり頭の回転が速い。
この二人と争っても無駄だとわかり不貞腐れているだけだった。
「とりあえず荷物、部屋に置きませんか?」
ずっと黙っていた日高が皆に提案をした。
確かにその通りだ。
辺りを見るともう他の班はそれぞれの部屋へと散らばっている。
俺たちも部屋に向かう事にした。
「はぁー・・疲れた・・。」
全員荷物を無造作に下ろす。
12畳くらいの部屋に押入れとベランダに出る窓が一つずつ。
入り口の所にトイレは一応あった。
「夕飯は風呂の後。それまでは自由時間で良いってさ。」
二クラスずつ入るが時間がかかる。
「じゃあ、トランプでもやろ! 俺、きちんと持ってきたから!」
牧野がガサゴソと自分の鞄を漁る。
鞄の中身が一瞬だけ見えたが遊ぶ物ばかりだった。
こいつの頭の中には遊ぶ事しかないのだろうか?
そして俺たちは定番である「大富豪」をやる事になった。
もちろん罰ゲーム付きで。
罰ゲームをどんなのにするか思案中です(笑)
定番の罰になっちゃうかもしれませんが^^;
無い頭を振り絞って考えてみます。




