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不器用な俺。  作者: sprint
21/27

第二十話:出発当日

次の日の朝。



まだ完全に夜は明けていない。

少し薄暗い中、重そうにボストンバックを肩に背負い学校へと向かう。



なんとか寝坊せずに起きる事が出来た。



携帯のアラームをMAXにして起きたら姉貴に怒られた。





既に学校の敷地内にバスは停まっていた。


キョロキョロと辺りを見回す。



(いた。あれだ。)



翼たちを見つけ声をかける。



「よぉ。」


「あ、竜二。うっす。」

翼も眠たそうだ。


「竜二おはよ!」

筒井の後ろから香織がひょこっと顔を出した。




この二人の前でなら名前で呼び合っても平気。



「慣れ」というものは恐ろしいものだ。





「先輩、おはよー。」

筒井も眠たそう。


ちなみにこれだけ面識があって敬語、というのも堅苦しいのでタメ口で話すように言った。

そしたら喜んでタメ口で話すようになった。





「バスに荷物を入れろ〜。出発するぞ〜。」


担任の掛け声が聞こえた。


そういえばいれるのを忘れてた。


よくよく見たら三人とも荷物を持っていないではないか。





「あらら・・じゃ、私たちのバスあっちだから! 後でね!」




焦って自分達のバスに乗り、座席に荷物を降ろす。

翼も座席に着いたようだ。



「もう少し経ったらスキー場へと向かいます。基本的にはそれまで自由ですが立ち歩かないように、窓から手や顔を出さないようにお願いします。」


バスガイドがお馴染みの諸注意をアナウンスする。



「朝からラブラブでうらやましいですねぇ〜。」



そう冷やかしてきたのは向かいの座席に座っている牧野尚也まきのなおや





「うっせぇな。黙ってろよ。」

ふざけた感じで適当に流す。



こいつは所謂クラスのお調子者。

どのクラスにも一人はいる何かと騒ぐ奴。

正直に言うと五月蝿いサッカー馬鹿。

まぁ、憎めないキャラだからいいんだけど。



「でもよー。あの子、やっぱり可愛いよなー。なんで竜二なんだろ?」


前の席から身を乗り出して会話に入ってくる人物が一人。




こいつは栢山修一かやましゅういち



何でもズバズバと言う毒舌。

そのせいで色んな人と口論しているのを見かける。

それも熱くなって暴言を吐くのではなく、論理的に。


こいつと口げんかをして勝った例が無い。

口がよく回るからかバスケ部の部長も務めている。





「お前も!なんで朝からこんな話題なんだよ。・・確かに可愛いけど。」




最後の部分をボソボソっと聞こえないようにつぶやいた。


が、それは見事に聞こえてしまっていた。



「本音が出ちゃいましたね〜。」

栢山が目を細めてニヤつく。



「先輩・・・! 笹山・・・! あぁ!!」

牧野が一人で抱き合っている真似をする。


「ちょ・・おい! やめろよ!!」

俺が牧野を止めようとした瞬間―――…




ドカッ!





牧野の顔に黒いボストンバックがめり込む。



「いってぇぇぇ!!」



ジタバタと騒ぎ通路にのた打ち回る。






「あんた邪魔! 朝っぱらからうるさいわね。」


ボストンバックをめり込ませた犯人は新藤瑞穂しんどうみずほだった。




「新藤ナイスツッコミ! サンキュー!」


俺は牧野の姿に爆笑しつつお礼を言う。





実はこの二人、幼馴染。

クラスでは牧野が馬鹿な事をやって新藤がバシッと一発かます、というのは日常茶飯事。





「じゃあ、そろそろ出発するから席に着けー。」



担任がそう指示するとみんな渋々自分の席へと戻る。






「ではこれよりスキー場へと出発いたします。」




バスガイドが再度アナウンスをするとバスは動き出した。







少し登場人物がゴチャゴチャしてきたので、次は少し整理して書きたいと思います。

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