表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な俺。  作者: sprint
19/27

第十八話:予想的中

「言わないといけない事・・・?」


なんだろう。

聞いちゃいけないような聞いておかないと後悔しそうなそんな感じ。


「あ、でも私がそう思うだけだけど・・。」

「いいよ、言って?」


大きく深呼吸をして覚悟を決めた。






「あ、あのね、今日・・・。」

「今日どうかしたのか?」


あまり追求したくなかったがつい突き詰めてしまう。





「・・・告白されたの。」


「・・・。」



告白? 誰に?

頭が真っ白になっていく。


香織を取られてしまうようなそんな不安に襲われた。



「誰に?」


一つ一つ整理しながら聞いていく。

香織は一呼吸置くとゆっくりと話す。


「・・三月君。」



三月?

あの三月か?




そんな素振りはまったく見せなかった。

さらに思い出してみるといつもより明るかった気もする。


「え、けど三月は俺たちとずっとバトン練習してたよな? いつ?」





俺の少ない知識の中では告白、というものは放課後とか何かの行事が終わった後だと思っていた。




「今日の部活が始まる前に呼び出されて・・そこで・・。」






あまり香織を追い詰めるような事はしたくない。


けど、けど・・・。








「で、でもちゃんと断ったよ・・・? 私、付き合ってる人がいますって。きちんとごめんなさい、って・・・。」




三月の印象は軽そう、俗に言う「チャラ男」タイプだった。

あんな奴に香織を渡したくない。

三月に対して理不尽な怒りがこみ上げてくる。



「・・・。」



俺は黙ったままだった。

何も言う事が出来なかった。

携帯を持つ手が震えてくる。

それが怒りに打ち震えていたのか悲しさがこみ上げてきたのかはわからなかったが。




「そう言われてどう思った?」


怒りにまかせてつい、意地悪な質問をしてしまう。


「気持ちは嬉しいけど、やっぱりダメだって・・。」


「・・・嬉しかったのか・・。」

後々考えればごくごく普通の受け答えなのだが、この時点で俺の思考はおかしくなっていた。

そして、俺は一番危ないボタンを押そうとしていた。









「お前、三月のこと・・「お願い!!」


言いかけたところで大きな声に遮られる。










「三月君の事はなんとも思ってないから・・・私が好きなのは竜二だから・・・お願いだから私の事、嫌いにならないで・・・?」



携帯を通して聞こえてくる声が徐々に涙声になっていった。





香織の涙ぐむ声とこの言葉を聞いてようやく怒りが収まる。

寧ろ、香織の事を信じていなかった自分に腹が立つ。

それと同時に香織に対してとても申し訳ない気持ちで一杯になった。



「ごめんな。俺、それ聞いた時にとっさに香織が三月の事を好きになっちゃうかも、って思っちゃって・・・。香織の事、本当に信じきれてなかった。信じてたらこんな事思わないもんな・・。本当に、本当にごめんな・・・。」



精一杯の謝罪の念を込めて謝った。




本当に悪い事をしてしまった。

なぜ俺はいつも自分で自分の首を絞めるような事ばかりしてしまうのだろうか・・。




「ありがとう・・・わ、私の言い方が悪かったの・・・。」

「いや、俺が勝手に思い込んじゃって・・だから香織は何も悪くないよ。俺も香織の事が好きだから・・本当にごめん。」



香織がすすり泣くのが電話ごしに伝わる。


「泣かしちゃって本当に悪かった。でももう泣くなって。ほら、な?」

「だって・・・だって・・・竜二のばか・・・。」




俺はまたしてもあたふたするばかりであった。

なんとかして機嫌を直してもらわないと・・。


(そうだ!)



「香織? ちょっとベランダ出てみ?」

「ぐすっ。何・・?」


俺もガタガタとベランダへと出る。




「ほらっ。上見て? 星、綺麗だよ。」



空にはいつもよりも多く星が光っている気がした。


「わぁ・・綺麗だね・・。」



「あの一番明るく見えるのがシリウスとプロキオン。で、三つ並んでるのがオリオン座。見える?」


「あった! 綺麗〜・・。」




さっきまでの涙ぐんだ声は消え、楽しそうな声が聞こえてきた。

(よかった・・機嫌、直ったみたいだな。)



「あ、寒いからあったかくしろよ? 風邪とか引くなよ。」


「もう! ちっちゃい子じゃないんだから! ふふっ。」




俺、そういえば薄着のまま出てきちゃった。

結構冷えるな。



「さ、そろそろ中に入るか。風邪引くぞ?」

「だからちっちゃい子扱いしないの!」



(気遣いのつもりだったけどうっとおしかったかな。)




「香織・・・?」


「ん?」




「俺、これからちゃんと香織の事信じる。隠し事もしない。約束する。」

「・・うん! 約束だよ!」


そう固く誓い合った。




「じゃあ、眠いから寝てもいい?」


「あ、ごめんね! おやすみ!」


「おやすみ!」




電話を切る。

通話時間、3時間。


こんなに長電話したのは初めてだ。






こうして波乱の幕は閉じた。






もっと・・香織の事を信じないと・・・。





出来ているようで出来ていない、そんな事を思い知らされるのであった。






最近、すごくベタなセリフになっている気がします(汗

もしも類似表現などありましたら大変申し訳ありません。

言って下さればすぐに修正致しますので・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ