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不器用な俺。  作者: sprint
11/27

第十話:それぞれの戦い

いよいよ大会当日。


さすがの俺でも今日は遅刻しなかった。

というか大会当日に部長が遅刻なんてしたら大問題だろう。


学校のトラックとはまったく違う赤い、きちんと整備の整っているトラック。

俺はここを思いっきり駆け抜ける。

目指すは一位。

今までの成果を出すまでだ。


本番まではまだ時間があるので入念にアップを済ませる。

専門種目である400mは勝ち取らなければ・・・。

顧問や他の先生方から散々期待の眼差しを浴びせられているのだから。


そんなプレッシャーが重く圧し掛かる。

だがそれに負けないで記録を出すのが強い選手だ。

落ち着いて深呼吸をしてリラックス。


翼は100m。

笹山・筒井は200m。


(みんな頑張るんだから俺も頑張らないとな。俺は出来る!)

心にそう決め暗示をかける。




スパイクという武器を持ちユニフォームという鎧をまとい、己の「戦場」へと向かった。




召集を済ませ集中しながらストレッチ。

俺が走るのは4組あるうち1組目の4レーン。

とても良い位置だ。


速い人が前の方の組に振り分けられ、速い人から順に内側のレーンから入るからだ。



自分のレーンのスターティングブロックを合わせ、時が過ぎるのを待つ。

そしてついに・・・。




「行います。位置について。」


お願いしまーす!と大きな声が響く。


「よーい」


少し間が空く。

俺はこの間が大嫌いだ。


緊張がピークに達する。



パンッ!!!




白い煙とともにピストルの音が鳴り響き、一斉にスタート。


一歩一歩確実に前へと進む。

最初のコーナーの部分は一瞬で終わり、直線へと入る。



先ほどのコーナーとこの直線でスピードに乗らないと後が厳しい。

走る前はそんな心配をしていたがうまくスピードに乗ることができ順調に加速。


横一列に並んでいたがそれを大きく突き放す。

大抵、このあたりからみんな徐々に苦しくなってくる。

ちなみに300m付近までスピードを保つ事が出来るのが俺のとりえ。


全員突き放す事が出来たと思ったが一人、隣にいた。

肩に力を入れないように前へと出ようとするが向こうもついてくる。

コーナーでずっと競り合っているといよいよ最後の直線に入る。


ここからが400mの一番キツイ所だ。

足に乳酸が溜まり、パンパンになる。

常に腕も振っているので腕にも乳酸が溜まり体が鉛のように重くなってしまう。


この直線に入ってもまだ競ったままだ。

向こうが焦っているのがわかった。

だが、ここで自分も焦っては翼の時の二の舞だ。

ゴールまでの距離が50m、40m、30mと短くなるにつれて応援も一層激しくなる。


ラスト20mほどだろうか。

痺れを切らしたのか向こうが軽く前に出るがすぐに落ちた。

気づけば俺の後ろへと。


このまま行けば一位。

ヘロヘロになるが気力と根性で走る。



5m。4、3、2、残り1m。



そしてゴール。



止まった途端、思わずその場に倒れてしまう。

体を動かす事がままならない。


しばらく呼吸が整わなかったが少しずつ喜びがこみ上げてくる。

思い切り叫びたいがそんな元気は無い。


グラウンドに一礼してコースから外れると顧問やみんなが温かく出迎えてくれた。



最初に声をかけてくれたのは翼だ。

「おめでとう。凄かったな。」


肩にポンと手を置き、笑いかけてくる。


次に声をかけてくれたのは笹山と筒井だった。




「一位おめでとうございます! めちゃくちゃ格好よかったですよ!!」


笹山も昨日までの気まずさなど忘れ、激励してくれる。




そして顧問の先生から一言。


「よく頑張った。おめでとう。これからもより精進するようにな。」


普段は厳しい人だが優しく微笑みかけてくれた。






(そうだ、翼たちの試合は?)


三人に聞くと100mも200mも俺がアップしているうちに終わったとの事。


「さ、三人とも結果は?」

「全員県大会!!」


笹山と筒井がVサインを向ける。

が、ほぼ同時に翼が不服そうに言う。


「俺は二位だったけどな。一人抜かせなかった。」


すると筒井もつられたように

「私もですよ! また香織に抜かれちゃいましたー。」


と少し膨れっ面になりながら笹山とじゃれる。


多少の悔いはあったかもしれないがみんな笑顔だった。


結果報告をし終えると他の試合を観戦することに。

あの選手は速いだの今の選手は凄かっただの一人前に言いながら。


そうこうしていると閉会式。

どこかのお偉いさんの挨拶をみんなかったるそうに聞き流すと閉会式は終わった。





みんなの戦いはここで終わりだが俺にはやるべき事が残っている。





武器を改め、勇気と正直な気持ちを武器にまた新たな「戦場」へと。











「笹山、ちょっと話があるんだけど・・・来て?」








大会終わりましたー。次はいよいよ!


バレンタインに更新できるよう努力しますので^^

新たな「戦い」の結果はいかに・・?

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