第九話:決意
気がつくとすでに朝になっていた。
どうやらあのまま眠っていたようだ。
最悪に目覚めが悪い。
誰かに睡眠を妨害されたわけではないが嫌な気持ちだ。
昨日のことが嫌でも思い出される。
頭の中から拭い去ることが出来ないのだ。
顔を洗ったり、朝食を済ませたりすれば楽になるだろうと思ったがそうはいかない。
いつもより暗い足取りで学校へと向かう。
今日は前のように遅刻はしなかったもののみんな集まっていた。
笹山も・・・。
昨日、あれだけ言われたのに極力近づかないようにしてしまった。
向こうも俺になるべく近づかないようにしてるのが窺える。
お互いに視線を合わせようとしない。
そんなことが積み重なり、さらに気まずい雰囲気になっていった。
目を見てしまうとどうしてもあの悲しそうな目が浮かんでくる。
なんであの時言うことが出来なかったんだ。
そんな後悔が押し寄せてくる。
あの時、言うことが出来ていればこんな風にはならなかったかもしれないのに・・。
こんなことを考えながら、朝連や授業をこなす。
午後は専ら明日の連絡。
俺がそこまでグイグイと引っ張らなくても大丈夫だった。
しかし何をやったのかまったく頭に入っていない。
どうしたらいいのか朝から午後まで考えていた。
そして、一つの結論にたどり着く。
(やっぱり言えなかったところ、伝えた方がいいよな・・・。)
大会終わったらきちんと伝えよう、と心に決めた。
その大会は明日なのだが・・・。
あいにく自分ではなんと言っていいのかわからない始末。
相変わらず情けない。
(また姉貴に? 最近相談してばっかだし・・・。)
翼の馴れ初め話でも聞いて参考にしてみるか。
あの様子だとまた彼女自慢かなんかに発展しそうだけど。
「翼? お前たちって、どんな風に告白したの?」
「あぁ、俺が告ってOKしてもらったの。・・・聞きたい?」
いかにも聞いてくれという目をしている。
「うん、お願い。」
「どうせ参考にしたいとか思ってたんだろ? わかってるって。」
(うっ・・・図星。でもこの発言、そうとう自信が無いといえないよな・・・)
細かい部分は気にしないでおこう。
「えっと、部活終わった後に呼び出したんだよ。ちょっと来て?って。もちろん誰にも気づかれないようにな。で、人がいないことを確認したんだ。そして告白。確か自分の思ったままに伝えたと思う。『好きです!付き合って下さい!』ってな感じで・・・」
予想通り、そこから延々と筒井との話が始まりそうだったので切らせてもらった。
「そっか。ありがとな。」
「最後まで聞いてくれればいいのにー。まぁ、参考にしてくれよ。」
(自分の思ったままに伝える、か・・・)
頭の中で何度も繰り返しながら家に帰った。
風呂の中でも夕飯を食べている時もずっと言葉を考えていた。
もちろんいつも考え事をするベッドでも。
(明日は大会なんだから早く寝なきゃダメだな)
俺はそう考えると眠りにつく。
明日が忘れることの出来ない日になろうとは思わなかった・・・。
いよいよ大会になりました。
もうそろそろこの小説も終盤となります。
最後まで読んで下さると光栄です^^




