第6話 ギルド
ルーブルは領主達貴族が住む貴族街、その他の諸々の人が住む平民街、ブラックな人達が住むスラム街に分かれており、平民街とスラム街の行き来は自由だが貴族街に行くには通行証が必要になっている。
ノブとサンザークはテッドとわかれ、平民街を中央にあるギルドに向かう。平民街はそれなりに賑わっており店から呼び込みの声が聞こえ、夕食の買物に来ているだろう奥様が多く見られる。
ギルドへ向かう途中、サンザークの顔を見ると声を掛けて来る人が多く見られ、サンザークに人望がある事がうかがえる。
時間を取れながらもノブとサンザークは無事にギルドの建物の前に到着する。
「なんかすごい建物ですね?」
と建物を見たノブが感想を漏らす
「だろう、領主の館にゃー負けるがそれでも立派だ」
「いやいや、色が‥‥‥‥‥‥‥信号やん」
ノブが見た建物は3階建てで右から青黄赤と塗られている。
「信号?それがが何かはわからんがこの青黄赤の3色のつながりがギルドを表している。どこのギルドもこの色をしている」
「わかりやすいですね‥‥‥‥‥」
「よしっ!中に入るか」
2人は中に入る。中には少なからず人がおり、依頼の紙が張り出されたボードを見ながら話をしている。依頼ボードの近くには受付があり、取り分け普通の女の人が座っている。冒険者登録所は2階らしく、2階への階段を上がり、登録所と書かれたカウンターに行き
、下を向いて作業をしているおばちゃんに近づき話し掛ける。
「すまん、冒険者登録をしたいんだが‥」
登録所のおばちゃんはチラッとサンザークの顔を見ると、すぐにまた下を向き再び作業に戻る‥‥‥5秒ほどして、またサンザークの顔を見て下を向く‥‥‥さらに5秒後、顔を起こして大きな声で
「し‥しぶっ‥支部長!!剛剣がーーーーー!」
と叫びながらカウンターから飛び出し猛ダッシュで3階への階段を上がって行く、それを見ながらノブも叫ぶ
「早っ!!!」
ノブが呆気にとられていると3階からドタドタという音が近づいてくる。先ほどの猛ダッシュおばさんが肩で息をしながら
「ぼぼぼぼぼぼ冒険者‥‥ハーハー‥‥‥‥登録は‥‥ハーハー‥‥後からしますので‥‥‥ハーハー‥‥‥先に支部長に‥お会いになってください‥‥‥サンザーク様は知っているとは‥‥‥思いますが3階へ‥‥どうぞ‥‥」
と完全に酸欠状態で必死に声を出す。サンザークは戸惑いながらも頷きノブを連れ、3階の支部長室に行きノックをして中に入る。
「半年ぶりか?サンザーク」
とおじさんが少し大きな机を前に椅子に腰掛けて、笑顔で声を掛けてくる。そのおじさんは白髪の短髪頭には少量だがまだ黒い髪が残っており、りりしい顔右頬に十字の傷が出来ている。年齢はサンザークの父親と言っても良いぐらいの年齢だろう。
「おっさん、まだ生きてたのかよ」
「お前も相変わらずじゃな」
「おっさんこそ相変わらず元気そうだな」
「おーい、おいてかないでくださーーい」
ノブは2人雰囲気に威圧されながらも横から声を掛ける。
「おぉすまんすまん、俺の名前はシシブだ。ここの支部長をしている」
シシブという名前を聞いてノブは思う。
『さっきのおばちゃん、焦ってたんじゃなくてシシブ支部長っていってたんだ・・・・』
「ノブです。それでさっきおばちゃんが言っていた『剛剣』とはサンザークさんのことですか?」
「そうだ。『剛剣』のサンザークと言えばこの大陸では知らぬものがいない、特級冒険者の一人だ」
「まさか、特級が一番下とか言いませんよね?」
「ギルドは国とは関係のない組織だが、こと特級冒険者に関しては国家の危機には出動義務があり、戦争の際には臨時大将を務める、1級冒険者の中でも実績、性格等に優れたものの中から国王が任命する。最高ランクの冒険者だ」
「なるほど・・・・・・・・・・・・」
ノブはサンザークの方へ振り返り、ゆっくりとした動作で手を膝を床につき、最後に頭をつけ土下座をする
「色々と申し訳ありません」