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Jewel Sword(ジュエルソード) ~笑顔は力なり~  作者: 寺門文珠
第1章 異世界は甘くない
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第5話 テッド

「嘘つき」

ノブはサンザークの顔をじとっと見る


「いやいや、ほとんど魔物は出てこないって言っただけだぞ、”ほとんど”だぞ」

「いやいやいいやいやいや、ほとんど出てこないっていうレベルを超えてますよ!」

ノブたちが村を出た、5分後には昨日と同じようにベリーウルフに襲われ、それからもちょくちょく魔物に襲われ、安息の時間がないうちに夜を迎えることとなっていた。ノブは今日だけで「嘘つき」という言葉を一生分言ったような気がしていた。


「まぁこんな時もある。無事に行程の半分までこれたんだから良かったろ?」

「確かにサンザークさんが居なかったら、100回は死んでましたけど・・・」

ノブはしょうがないといった様子で答える。


「それで夕食なんだが・・・」

「サンドイッチ以外で!!」

「お、おおう。さすがに毎食サンドイッチってのも俺は良いけど、お前は違うのも食べてみたいと思うよな」

「そうですそうです!サンドイッチ以外の物も食べてみたいです」

「だよな。今晩の夕食はかーちゃん手作りハンバーガーだ」

『こいつ・・・』


 ノブはその後、サンドイッチ作業と同じ要領で、ハンバーガーを作業のごとく食べる。味はサンドイッチとほぼ同じで、くそまずかった。

『パンが焼いてあるだけや~ん』


「サンザークさん、少し聞いてみるんですけど・・・先に言っときますけど記憶喪失ですからね」

「はいはい、わかってるわかってる」

「1日って何時間?です?」

「だいたい、24時間くらいじゃないか?」

「じゃぁ1時間は?」

「60分だろ」

「じゃ1ヶ月は?」

「30日と31日だよ」

「じゃじゃじゃじゃぁ1年は?」

「365日」

「太陽は?」

「見たらわかるだろ」

「月は?」

「今、出てるじゃないか」

                   ・

                   ・

                   ・

                   ・

                   ・

 ノブはサンザークにその後も色々とこの世界では常識と呼ばれる事柄を聞いていった。サンザークも呆れながらも聞かれたことに答えていった。

 この世界では魔物や魔法といった物が存在するだけで地球と同じように時間が流れ、月や太陽、星があるという事がわかった。また、この大陸には大小15の国が存在し現在いるバン王国は5番目の国土を誇っているという。

お金に関しては大陸内ではルビーという共通通貨を使っており、

   丸銅貨が10ルビー

   四角い形をした角銅貨が100ルビー

   丸銀貨1,000ルビー

   角銀貨10,000ルビー

   丸金貨100,000ルビー

   角金貨1,000,0000ルビー

と言うらしい。だいたい、冒険者が泊まる中級の宿で朝食付5千ルビーほど掛かる。ノブは前の世界と似たところが多く、お金に関しても日本の通貨「円」と同じ感覚と感じ、無駄に安心感を得る。

「まぁ他の事はおいおい教えてやるよ。今日も俺が見張りをするからお前はしっかり休んで明日に備えろ」

「いいんですか?いつもサンザークさんが見張りじゃ悪いし、今日は僕が起きときますよ」

「お前に見張りを任しても、結局心配で寝られねーよ!」

「わかりました。おやすみなさい。グー・・・グー・・・・・・・」

「だからはえーよ!」








 次の日の道中は初日と打って変わり、1匹の魔物とも遭遇しないまま夕方にはルーブルに到着した。


「これがルーブルですか?」

 ノブは街をぐるっと取り囲んだ高さ10メートルの壁を見上げ、サンザークに問いかける。

「でかいだろー、初めて見る奴はたいがい、お前みたいな顔をする」


 話をしていると門の入口で並んでいた列は進み、サンザークとノブの番がやってくる。


「サンザークさん!サンザークさんじゃないですか!半年ぶりぐらいですか!?」

入口で出入りをチェックしている兵士と思われる人がサンザークに話しかける


「まぁな、本当はまだ帰ってこないつもりだったが、弟子が出来てしまってな。これから、冒険者として一人前に育てないといけんのだ」

「この坊主がサンザークさんの弟子っすか?」

「サンザークの一番弟子のノブです」

「サンザークさんに認められるくらいだから、相当なんでしょうけど・・・」

「まぁこれからの成長次第で化けると思うぜ。それよりもテッドはどうしたんだ?」

「・・・テッドさんは2か月前に魔物がミールの町の近くに出て、この街からも応援に駆け付けるよう領主から言われ・・・」

「そうか・・・そうだったのか・・・」

「サンザークさん、テッドさんという方は?」

「あぁ俺の同郷で幼馴染で、この街の兵士長をしていたんだ・・・」

「そうだったんですか・・・」

 3人で話をしていると後ろから大きな声が聞こえる


「よーサンザーク!!」

「よーテッド!!」

応えるサンザーク

「死んでないしっ!」

 ノブはまたかと思いながらツッコミを入れる


「何なんですか、サンザークさん!テッドさん生きてるじゃないですか!」

「また、あれやってたのか。お前らもこりねーな」

「まぁここに来た時の一種の儀式みたいなもんだ、なーガンマ」

「いやー、サンザークさんかわってないですね」

「俺がそう簡単にかわってたまるかよ」

「ですね」

 笑う3人、取り残される1人


「それじゃ、僕は他の人のチェックがあるんで」

とガンマと呼ばれる兵士は少し待たされてイライラしているだろう商人の馬車の所へ行く


「サンザーク、それでなんで戻ってきたんだ?例の物が見つかるまで戻ってこないって言ってたじゃねーか、もしかして見つけたのか?」

「まぁ良いじゃねーか、弟子が出来たから冒険者として登録して手伝いと修行をさせようと思ってな」

「いやいや、手伝いは聞いてますけど修業は初耳っ!!」

「まぁ良いじゃねーか」

「まぁ良いじゃねーかって、まぁ良くないっての!」

「まぁ良いじゃねーか」

「こいつ・・・」

「まぁまぁ弟子君も落ち着けって、それで今からギルドに行くのか?」

「あーそのつもりだぜ、今ならまだ空いてそうだしな」

「確かに今なら空いてるから、登録もすぐに終わるだろう。じゃサンザークは冒険者だから、街に入るのは無料だが弟子君はまだ冒険者じゃないから弟子君の分、千ルビーな」

 サンザークは胸から皮の袋を取り出し丸銀貨1枚を取り出し、テッドに渡す。

「ちなみに僕の名前は弟子君ではなくノブです。覚えといてくださいねテッドさん」

とテッドに言い残し、ノブとサンザークは街に入る。





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